米バイデン政権の国家安全保障顧問ジェイク・サリバン氏は1月29日、米国平和研究所(USIP)が主催するディスカッションに参加し、日米印豪4カ国からなるインド太平洋の安全保障の枠組み「クアッド(QUAD)」を拡張していくと述べた。トランプ政権の下で開始された同地域戦略を引き継ぐと語った。
ここ数カ月、米国、日本、インド、オーストラリアの4カ国は、将来的により多くの共同活動を行うことを約束して、合同軍事演習を実施してきた。さらに日米豪印4カ国の外相は昨年10月、東京で対面式の会議を開催、インド太平洋地域における中国の脅威に対応するため、経済や外交、軍事の各方面で協力し合う方法について議論を交わした。
ディスカッションに同席したトランプ政権の国家安全保障担当ロバート・オブライアン氏は、トランプ政権は対中政策において超党派的な方向性を示したと指摘。クアッドは「北大西洋条約機構(NATO)以来、最も重要な関係」であり、同盟国と高いレベルで協力し合い課題に立ち向かう必要があるとした。
オブライアン氏は、「自己主張が強い中国」は地政学的な挑戦を仕掛けてくる勢力の筆頭であり、今後も米国の課題は継続すると述べた。そのうえで、中国に関する問題は「台湾、インド、香港、南極、北極でも見られる」とし、中国の「戦狼外交」という好戦的な外交姿勢はその野心の表れであると語った。
オブライアン氏はまた、ポンペオ前国務長官がジェノサイドと認定した、中国共産党の新疆ウイグル自治区における行為について尋ねた。サリバン氏は、米国は人権侵害を行う中国共産党政権に代償を払わせることもいとわないと明言し、「私たちは民主主義の原則のために立ち上がる」と述べた。
いっぽう、オブライアン氏が中国やロシア、イラン、テロなどの外国勢力の脅威に焦点を当てたのに対して、サリバン氏は、外交の前に、新型コロナウイルス(中共ウイルス)による経済損失、気候変動、国境問題、政治的な分断といった国内問題の修復のために、国内政策の優先順位を上げることを強調した。中国については、大国間競争のなかの相手とみなしているとも語った。
(翻訳編集・佐渡道世)