南シナ海で活動する中国軍の潜水艦乗組員、2割が心の不調訴える 全体より高水準=報道

2021/02/02 更新: 2021/02/02

中国海軍軍医大学の最新調査研究によると、南シナ海で活動する海軍潜水艦の乗組員のうち、約2割がメンタルヘルス不調を訴えている。台湾専門家は、中国軍内のカウンセリング・診療体制に問題がある上、中国当局による頻繁な軍事演習も一因になっているとの見方を示した。

香港英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」1月31日付によれば、同調査は、潜水艦に乗船中の男性兵士500人を対象に行った。うちの21%の兵士には、心理的な問題またはメンタルヘルス上の問題があることがわかった。特に不安障害と妄想性障害がみられた兵士が多いという。重度の精神的問題を抱えた人の割合は、人民解放軍全体と比較して高かったという。

調査報告書は、心の健康問題が生じた原因は2つあるとした。1つ目は、南シナ海における軍事演習の回数の増加だ。訓練のために潜水艦は通常、60~90日間水中航行を続けている。また、報告書は、潜水艦という閉鎖空間に長く滞在することも、心の不調をもたらす2つ目の原因であるとした。

台湾の軍事評論家である李正修氏は1日、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して、「潜水艦の乗員は、他の部隊と比べて、より強いメンタルを求められている」と述べた。

「多くの装備や武器が取り付けられている潜水艦の中で、人の活動できる空間が限られている。潜水艦は、敵側にその動きを感知されないように、外部との連絡をほぼ断っている。このような空間で、メンタルが弱い人は、非常に不安になるだろう」

中国では昨年9月、江西省や雲南省など各地の若者が兵役を拒否したことが相次いで報道された。同月、中国SNS上で、中国軍の若い兵士らが中印国境地域に派遣される途中、自分を奮い立たせるために歌いながら、泣いていた様子の動画が投稿され話題となった。

台湾国立中正大学の林頴佑教授は、兵士のメンタルヘルスの管理に関して、中国が他国と異なっていると指摘した。「米軍には従軍牧師がいる。台湾国軍には(カウンセリングを行う)補導長がいる。中国軍の場合、それに当てはまるのは政治委員(政委)だ。しかし、政委が兵士らのストレスを低減できるか、あるいは兵士とコミュニケーションを取れているかは疑問だ」という。

中国軍の政委は一般的に、心理カウンセラーの役割ではなく、兵士に対する中国共産党の思想教育を強化する役割で、軍内の党建設を担う。

李正修氏は、中国軍が南シナ海で頻繁に軍事演習を行っていることが、潜水艦乗組員の心の負担が増大した主因で、「潜水艦の中で長く生活することは非常に苦痛なことだ」とした。

ここ1カ月だけでも、中国海軍が複数回の軍事演習を実施した。2020年12月29日~21年1月7日まで、海南島の南西部、南部、東南部の海域で軍事演習を行った。1月27日~30日までは、南シナ海で演習をした。

また2020年8月、中国軍は、南シナ海、黄海、渤海、東シナ海で少なくとも10数回の演習を行った。9月末、中国の4大海域で同時に5回の演習を行った。11月17日~30日まで南シナ海の一部の海域で演習を実施した。

(翻訳編集・張哲)

関連特集: