米ハーバード大学ロースクールの教授は、第二次世界大戦中に慰安婦となった女性たちは性奴隷ではなく、慰安所との関係を維持するための契約を交わした公娼だと指摘する論文を発表した。
ジョン・マーク・ラムザイヤー教授が執筆した、「太平洋戦争当時のセックスの契約」と題した論文が2020年12月、学術誌「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス」のオンライン版で公開された。それによると、当時の慰安所は女性に対して、風俗の仕事に従事することの危険性や風評被害を打ち消すのに十分な寛大さをもち、なおかつ、戦争中の過酷な仕事でありながらも努力できる動機付けのための工夫を行なっていたという。
女性たちとの交渉の中で、例えば、最大1年または2年の期限付きの高額な給与の前払いや、十分な収入を得られれば早期退職できることなどが決まっていたという。
ラムザイヤー教授はまた、日本政府や朝鮮総督府が女性に売春を強制したり、日本軍が不正募集業者に協力したわけではなく、「慰安婦」募集の過程で、悪徳な朝鮮の売春宿運営業者が不当な方法で女性を誘ったことが問題だと指摘した。
他の研究者に査読されている今回の学術論文は、同誌3月発行の65巻に載る。
いっぽう、この論文内容をメディアが報じたところ、教授あてに憎悪表現に満ちたメールが殺到しているという。韓国メディアのペンアンドマイクが報じた。教授はこの事態に非常に驚いていると同媒体に語った。
ペンアンドマイクによると、対戦中に女性が「強制連行」説を主張する団体が活動する韓国国内では、ラムザイヤー教授に関するネガティブな報道が噴出したという。また、批判内容は論文への具体的な批判ではなく、個人攻撃が主だと指摘した。
ラムザイヤー教授は2019年3月にも、ハーバード大学ロースクール教授陣への論考で「慰安婦と教授たち」(Comfort Women and the Professors)という文書を発表し、同様の論文を書いた。
教授は、記録と証拠がないにもかかわらず、「1930~40年代に日本軍が、10代の朝鮮人少女20万人を強制的に慰安所に連れて行ったというのは奇妙」としている。また、韓国政府が「慰安婦は売春」と主張した大学教授を名誉毀損で起訴し、6カ月の懲役刑が下った例をあげて、歴史問題の政治利用を批判した。
論文は、「多くの売春婦は親によって売られていた可能性もある。いっぽう、一部の女性は軍人と恋愛もしている」と論じた。教授は、恋愛と歪曲について、元慰安婦女性の証言がのちに変化していることも指摘している。
その一例として、1991年、慰安婦の事案を最初に公にしたとされる李容洙(イ・ヨンス)さんは、戦時中の出来事について「真夜中に友人と一緒に家を出て、赤いドレスと革靴をプレゼントしてくれた日本人男性のところへ行った」と話していた。その後、李さんは2002年「銃剣で連れて行かれた」と連行をほのめかした。別の慰安婦を自称する金学順(キム・ハクスン)さんについては、「彼女は養父母に売られ満州慰安所に行くことになった。しかし、後に日本人によって拉致されたと主張した」という。
教授は、韓国における少女の強制連行の主張には、極左団体が背景にあると指摘している。教授は、「強烈な左翼団体が高齢の元慰安婦たちの介護施設を運営し、面会できる人を管理している」とし、異論を申し立てる人を誰でも誹謗中傷しているとみている。市民団体の正義記憶連帯(旧称・韓国挺身隊問題対策協議会)をあげ、反日感情を助長するために、歴史を操作していると主張した。
加えて、親北朝鮮団体による歴史捏造と解釈できると教授はみなしている。韓国の慰安婦関連団体の動きを分析し、「日本と韓国の和解を妨害することで、北朝鮮の主要な政治的目標を促進することに重点を置いている」とした。
正義記憶連帯は2020年5月以降、慰安婦女性支援を称して寄付金を不正流用したなどの疑惑が報じられている。
(編集・佐渡道世)