中国船舶が日本領海に繰り返し侵入するという事態を受け、東シナ海と南シナ海の緊張緩和を目的として、日本政府が防衛提携国のフランスと英国に働きかけた。
2021年1月、岸信夫防衛相が2回の仮想会議でフランス軍事相と英国国防相と個別に会談した。これは日本が実効支配する東シナ海の尖閣諸島の安全性に対する懸念が高まったためである。
海上保安庁(JCG)の発表によると、中国公船が尖閣諸島周辺接続水域内を航行した日数は2019年の282日から2020年の333日に増加したと、NHKが報じている。中国船舶がますます大型となり装備も強化されていることで、海上保安庁は一層哨戒活動に力を入れるようになった。
1月14日の会談では、岸防衛相と英国のベン・ウォレス(Ben Wallace)国防相が「法治に基づく自由で開かれた海洋秩序」を支持し、「力を背景とした一方的な現状変更の試みや緊張を高める行為」に強く反対することで合意した。
以前、英首相が2021年後半に空母打撃群を東アジアを含む地域に展開させる計画を発表しているが、これについて岸防衛相は記者会見で、「大いに歓迎し、高く評価する」と述べている。
ウェブサイト「UKディフェンス・ジャーナル」が伝えたところでは、英国海軍が展開を計画している空母打撃群には空母「クイーン・エリザベス」と随伴駆逐艦数隻およびフリゲート2隻や他の艦船が含まれる予定である。
1月15日の岸防衛相との仮想会談の席において、フランスのフロランス・パルリ軍事相も力を背景とした東シナ海と南シナ海の一方的な現状変更の試みに反対すると述べている。
パルリ仏軍事相とウォレス英国防相は、安保に関する二国間交流と防衛装備・技術協力を引き続き促進することで合意しただけでなく、北朝鮮問題に関しても日本政府と共同して取り組む姿勢を再確認した。これには、北朝鮮船舶が海上で船から船へ船荷を積み替える「瀬取り」などの違法海事活動の共同監視と哨戒、および北朝鮮の弾道ミサイルと大量破壊兵器を検証可能な形態で完全に解体するという目標に向けた協力体制が含まれる。
日英仏3ヵ国はまた、新型コロナウイルス感染症パンデミックに関連する人道支援・災害救援(HADR)活動で学んだ教訓を共有することでも一致している。
(Indo-Pacific Defense Forum)