米シンクタンク、民主主義防衛財団(Foundation for Defense of Democracies、FDD)の専門家はこのほど、インド太平洋地域における中国当局の膨張主義に対抗するため、日米豪印の4カ国は各自の強みと役割を統合する必要があるとの見解を示した。
同財団のシニアフェロー、クレオ・パスカル(Cleo Paskal)氏は、今月初めに開催された米保守政治行動会議(CPAC)で、大紀元英語版の取材を受けた。同氏は、中国当局はインド太平洋地域で挑発を繰り返していると批判した。
パスカル氏は、昨年6月に中印両軍が国境地帯で衝突した後、インド政府は多くの方法で中国当局に対抗したと話した。
「インド政府は、微信(ウィーチャット)やティックトック(TikTok)など、中国企業が開発した多くのアプリを禁止した。インドは、中国側が膨大な量のデータを吸い上げ、人工知能(AI)技術を改良して、軍事利用するとわかっているからだ」
同氏によると、インドがTikTokの利用を禁止した際、TikTokの運営会社であるバイトダンス(ByteDance)の時価総額は60億ドル減少し、「中国当局に経済的な打撃を与えた」。トランプ前政権は、中国大手企業の多くは共産党政権の支配下にあると警告していた。
オーストラリア政府は、世界各国の中で、中共ウイルス(新型コロナ)への中国当局の対応について独立調査の必要性を求めた最初の国である。「このため、オーストラリアは中国当局から激しい報復措置を受けた。しかし、オーストラリアは怯まなかった。さらにインド太平洋地域の他の国にも支援を続けている」とパスカル氏は述べた。
同氏は、インド太平洋地域における日本の役割について「まず、エネルギー分野において、同地域の他の国に経済的協力を提供することだ。そして、中国の軍事的存在感を低下させるために、日本は太平洋の島国との友好関係をより強化する必要がある」と提案した。
山上信吾・駐オーストラリア大使は2月末、豪紙オーストラリアンへの寄稿で、北朝鮮の核問題で日豪両国が東シナ海で連携していることを強調した。また経済分野では、宇宙開発のほかに低排出エネルギー技術においても、両国の協力の機会は「無限大である」との見解を示した。
一方、パスカル氏は、中国当局は総合的な国力で世界覇権を目指していると警告した。
「そのため、中国当局に対抗するには、銃や軍艦、中国系アプリの禁止だけでは不十分だ。中国当局の資金が株式市場に流入するのをブロックし、各国の市場に進出するのも阻止すべきだ。対抗は包括的なものでなければならない」
安倍晋三前首相の提唱で2007年、中国共産党政権に対抗するインド太平洋地域の外交・安全保障の連携枠組み、日米豪印戦略対話(Quad、クアッド)が始まった。米国のトランプ前政権はクアッドへの参加を重視し、同枠組みを拡大させる意欲を見せた。
昨年、米ポンペオ前国務長官が訪日した際、日米豪印4カ国の同盟関係は国際秩序の維持に関わる重要なことだと強調した。同年11月、オーストラリアは、日米印が毎年実施する合同軍事演習「マラバール」に参加した。
(記者・Li Hai/Joshua Philipp1、翻訳編集・張哲)