在中国大使館を含む日本の公館には、現地採用の職員が計282人いることがわかった。政府は、これらの職員の採用基準に、中国共産党員であるかどうかという判断基準の存否について明確に回答しなかった。3月17日、衆議院外務委員会の山尾志桜里議員の質疑で、外務省が回答した。党員は専制体制に服従する存在で、安全保障上のリスクがあると専門家らは指摘する。
山尾議員は昨年12月、中国共産党員の名簿とされる200万人弱のデータの漏洩事案をあげた。当時の報道によれば、名簿は2016年に中国から海外に持ち出されたもので、日系企業の関連組織も含め5000人あまりの党員の名前があった。データ分析により、党員は中国の外国公館にも勤務していることがわかった。
政府は、報道は認知しているものの、この党員データのなかに日本公館勤務職員がいるかどうかの回答は避けた。日本政府は中国に大使館や総領事館など8つの公館を構える。公館職員数は252人で、現地採用職員は282人だという。政府は党員かどうかにかかわらず、公館の情報保護と秘密保全体制は徹底していると強調した。
茂木外相は、現地職員の採用基準は明らかにできないと回答した。中国共産党の党員は2019年末に9200万人と、人口の6%を占める。
共産党の専制体制である中国では、党員は党に服従し、習近平思想、中国式の社会主義を学習している。また、自治体や企業、学校にも共産党委員会が設置され、組織トップも含めて党紀の下に党員が組織を「指導」し、監視している。前出の党員名簿の流出で、外国公館に党員がいることが発覚し、外国組織も党の統制の影響下にあることが示唆された。
山尾議員は日本在外公館に中国共産党員が採用される場合、安全保障問題が生じかねないと懸念を示した。「採用基準には中国共産党員でないことを入れ、282人の方には再度セキュリティクリアランスをかけるべきだ」と同日、SNSに書いた。
党員のデータベースを調査した豪紙オーストラリアンの記事は、党員の勤務先である海外企業や政府機関は「共産党員だと認識していたかどうか、また組織内のデータ保護のために措置を講じていたかどうか」が問われると指摘した。
(佐渡道世)