昨年、上海公安局から流出した監視記録を分析したオーストラリア放送協会はこのほど、5000人以上の外国人のパスポート情報と写真、および上海から入国した時の記録が含まれていると報じた。なかにはオーストラリア人161人とイギリス人150人が含まれている。
流出したデータは110万件以上に上る。 何者かが監視記録を保存したデータベースをハッキングし、入手したデータをオーストラリアの治安部門やメディア、国際組織に提供した。
161人のオーストラリア市民の情報は2018年に上海浦東空港から中国に入国したときに収集されたものだ。最年少は2歳児だという。
オーストラリア当局は、これらの自国民が上海市公安局の監視対象になっているかどうかについて調査している。
なかには、同国の元駐日大使で国家評価局を率いた元上級公務員兼外交官のジェフ・ミラー(Geoff Miller)氏の名前があった。また、ビジネス界の要人や機密性の高い技術や情報にアクセスできる上級職員らも含まれている。
ミラー氏は2018年9月、妻と観光のために上海を訪れたとき、情報が上海公安によって収集されたとみられる。ミラー氏はかつて同国首相や閣僚とともに複数回、中国を訪れたことがある。
また「Mediaweek」を運営するジャニス・マニング(Janis Manning)氏は、上海に1日しか滞在しなかったが、同様にデータベースに名前が載った。マニング氏は、自身がメディアで上級職に就いているためだと考えている。
オーストラリア政府は、データ収集が諜報目的なのか、広範なビッグデータ情報の一部なのかを調査している。
英紙テレグラフによると、150人のイギリス人には、元軍幹部、核関連の会社の取締役、医師、学者が含まれている。彼らの氏名、生年月日、パスポート番号、入出国の場所などの個人情報が記録されている。この元軍幹部の話によると、2018年に出張のため中国を訪れたが、中国当局が厳しい監視網を敷いているとわかっていたため、入国時に連絡先を保存していない携帯電話を使っていた。それでも個人情報は収集された。
サイバーセキュリティ企業「Internet 2.0 」のCEOであるロバート・ポッター(Robert Potter)氏はオーストラリア放送協会に対して、今回流出した監視記録は大規模なデータベースのほんの一部に過ぎないと指摘している。
「中国当局がその法執行や政治的影響力の及ぶ範囲内のすべてのデータをいかに広範に管理しているかを示している」とポッター氏が述べた。
シンクタンクのオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)のアナリストであるサマンサ・ホフマン(Samantha Hoffman)氏も、今回流出した監視記録は氷山の一角に過ぎず、中国治安当局は入国したすべての外国人を追跡できることを示していると指摘している。
今回流出した上海公安局の監視記録には、外国人のほか、新疆ウイグル人、政治的異見者、児童、精神病患者など当局が高い関心を示す2万5000人の情報がある。
上海公安局によって「テロ容疑者」としてリストアップされた新疆人の中には、400人の未成年者が含まれている。記録によると、上海公安はかつてこれらの子どもに対して検査を行ったことがあるという。その中に5歳の幼児がいた。
(大紀元日本ウェブ編集部)