茂木敏充外相は5日、中国の王毅外相と電話会談を行った。90分間に及ぶ会談の中で、茂木氏は中国の戦艦による領海侵入、香港民主化運動への弾圧や新疆ウイグル自治区の人権状況について「深刻な懸念」を伝えた。
菅義偉首相は16日に訪米し、バイデン大統領と対面で首脳会談を行う。バイデン政権が発足後、両国の首脳が初めて顔を合わせることになる。これに先立ち行われた日中外相の電話会談における茂木氏の発言は、中国当局へのけん制だと注目された。
外務省の発表によると、1時間半の通話の中で、茂木外相は中国海警局の船による領海侵入などの問題のほかに、南シナ海情勢や海警局に武器使用を認める中国海警法の施行に関しても、深刻な懸念を表明した。外相は中国に「具体的な行動を強く求める」と伝達した。
また、外相は中国に日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を求めた。両国は「日中経済に関して、真に公平・公正かつ安定的なビジネス環境の構築などを引き続き議論する」「新型コロナに関して引き続き対話する」という。両外相は、北朝鮮やミャンマー情勢についても意見交換した。
防衛省は4日、中国海軍の空母「遼寧」を含む計6隻の艦艇が沖縄本島と宮古島の間の海域を通過し、太平洋に入ったと発表した。中国軍の艦船が同海域を通ったのは昨年4月以来。
一方、中国外務省が5日夜に発表した声明によると、王毅氏は会談の中で「中国側の釣魚島(日本名・尖閣諸島)や南シナ海における立場を述べ、新疆や香港などの中国の内政に対する日本側の干渉に反対した」という。また、声明は「近隣国として中国の内政に対して基本的な敬意を持つべきであり、手を長く伸ばしてはいけない」と批判した。
中国側の発表では、両外相は各分野での協力を強化し、東京オリンピックと北京冬季オリンピックの開催を成功させるために「互いに支持していく」ことで意見一致した。
(翻訳編集・張哲)