今年初めに、フェイスブックとツイッターがトランプ大統領(当時)のアカウントを停止したことを受けて、米最高裁のクラレンス・トーマス判事は5日、ビッグテックに対する規制を示唆した。
「今日のデジタルプラットフォームは、前例のない量の言論の手段を提供しており、それには政府関係者の言論も含まれる。また、少数の民間企業がこれほど多くの言論規制を行っているのも前例がないことだ」とトーマス判事は述べた。
トーマス判事は、現代のテクノロジーは既存の法律や規制では簡単に対処できないとしながらも、「情報インフラとしての機能をもつ、民間企業が運営するデジタルプラットフォームに、現行の法律がどのように適用されるかについて、近く対処せざるを得なくなる」と述べた。
同判事はまた、ツイッターやフェイスブックは、「一般的な通信業者や宿泊施設と十分に類似しており、同じように規制されるべきだ」という議論があると指摘した。
彼はフェイスブックとグーグルに言及し、「両社とも上場企業だが、フェイスブックを支配しているのは1人(ザッカーバーグ氏)、そしてグーグルを支配しているのは2人(ラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏)だけだ」と述べた。
トーマス判事は、トランプ氏のツイッターアカウントが「憲法で保護された公開フォーラムに似ている」部分があることに同意した。しかし、「それを『政府のフォーラム』だと言いながら、民間企業がそれを封鎖する無制限の権限を持っているのは奇妙に思える」と指摘した。これは、1月6日の議事堂での事件以降、ツイッターがトランプ氏を追放したことに言及していると思われる。
「トランプ氏によるこのアカウントへのコントロールは、ツイッターの権限には遠く及ばない。ツイッターのサービス利用規約では、『理由の有無に関わらず、いつでも』アカウントを削除できるとしている。ツイッターはまさにその権限を行使した」と彼は付け加えた。
保守派のトーマス判事は、最高裁がトランプ氏に対するある訴訟を却下した際の12ページの意見書の中で、今回の規制について触れた。この訴訟は、トランプ氏のツイッターアカウントが停止される前に、同氏の投稿に対する特定のユーザーからのコメントをブロックしたことに対する申し立てだ。
最高裁は、トランプ氏はすでに在任しておらず、ツイッターの利用を禁じられているため、訴訟を却下した。最高裁に上訴される前、第2巡回区控訴裁判所はトランプ氏に不利になる判決を出していた。
「第2巡回区控訴裁判所は、トランプ氏がツイッターの機能を使って言論を遮断したとした」とトーマス判事は述べた。「しかし、言論が遮断されないことを目的とするのであれば、より明白な懸念は、支配的なデジタルプラットフォーム自体だ。ツイッターが明らかにしたように、言論を遮断する最も大きな権限は、民間のデジタルプラットフォームが持っている。その権限が憲法修正第1条(言論の自由)に対してどの程度重要なのか、またその権限を合法的に修正できるかどうか、興味深い重要な問題を提起している」
トーマス判事によると、ビッグテック企業は情報の流れに対して大きな力を持っており、それは書籍さえ含まれるという。彼は、アマゾン、フェイスブック、ツイッターなどが言論を配信する唯一の方法ではないとしても、これらの企業の力が比類のないものである限り、それは関係ないと述べた。
「いつだって料金所の橋や電車を避け、代わりに川を泳いで渡ったり、山を登ったりできる」と彼は述べた。「しかし、企業が十分な市場支配力を持っているかどうかを評価する際に重要なのは、代替案がそれに匹敵する様なものかどうかである。今日の多くのデジタルプラットフォームにおいて、匹敵する代替案はない」
(大紀元日本ウェブ編集部)