中国当局は4月2日以降、すべての日本のアニメに対して「放送前審査」を義務付けたとの情報がネットを中心に広まっている。中国の若者に人気の動画配信プラットフォーム「bilibili(ビリビリ動画、哔哩哔哩)」から日本アニメの掲載数が激減し、利用者から不満の声が高まっている。
ビリビリ動画の利用者は大紀元の記者に対し、同動画の4月の日本アニメ放送予定表は真っ白だと話した。また、再生できる日本アニメの数も激減して、連載中の新作も「全滅」したという。
実際、中国のメディアを管轄する「国家ラジオテレビ総局」は2014年の段階から、ウェブドラマやマイクロフィルムなどに対する内容審査や放送前検閲の方針を打ち出していた。
2015年4月から「放送前審査」制度が正式に施行され、未登録の海外映画・テレビドラマの放送は禁止された。
ビリビリ動画などのプラットフォームは著作権料を支払っても番組の同時放送はできなくなった。審査プロセスには少なくとも1週間かかる。
この利用者によると、以前は主に米国ドラマや韓国ドラマが審査対象となっていたが、日本アニメは対象ではなかったという。
ネットユーザーから不満の声が高まっている。
「ワクチンや食品の安全管理にアニメ規制の半分の労力でもかけたら?」
「一番怖いのは審査ではなく、基準が不明確な審査だ」
「この新たな審査制度は、国内のACG(アニメ、コミック、ゲーム)文化を10年後退させるだろう」
これらのコメントはほぼ削除された。
中国在住の独立系メディア評論家・呉特氏は大紀元に対し、この決定はおそらく中国の文化審査部門が外国文化の排除という意図から行ったもので、最近の日中関係とは関係ないとの見方を述べた。
茂木敏充外相は5日、中国の王毅外相との電話会談で、中国の戦艦による領海侵入、香港民主化運動への弾圧や新疆ウイグル自治区の人権状況について「深刻な懸念」を伝えた。中国側は「手を長く伸ばしてはいけない」と反発した。
呉氏はさらに、「中国当局は外来文化の浸透のリスクを根源から遮断する必要があると考えたのだろう」と分析した。また、「これで多くの二次元愛好者たちを怒らせ、共産党から人心がどんどん離れていく」と述べた。
(大紀元日本ウェブ編集部)