中国疾病予防管理センター(CDC)のトップである高福主任は10日、四川省・成都で開かれた会議で「現在入手可能なワクチンの予防率がとても高いとは言えない」とし、「政府は予防効果を向上させるためにワクチン併用を本格的に検討している」と明らかにしたという。
中国では4種類のワクチンが開発されており、ある当局者は10日、年末までに国内で30億回分が生産される見込みだと述べた。
ブラジルの研究者による11日の新聞発表では、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)のワクチンは、1回目と2回目の接種の間隔が3週間より短かった場合、第3段階の臨床試験(治験)での有効性は49.1%だった。世界保健機関(WHO)が基準とする50%を下回った。
別の小グループのデータでは、接種の間隔が3週間以上だった場合、有効性は62.3%に上昇した。全体的な有効性は50%をやや上回ったという。
中国医薬集団(シノファーム)のワクチンの有効性について詳細なデータは公表されていないが、同社は暫定治験結果に基づき、系列会社が開発した2種類のワクチンは79.4%と72.5%の有効性があるとしている。
中国外務省によると、中国製薬大手である科興控股生物技術と中国医薬集団の2社が製造したワクチンは、メキシコ、トルコ、インドネシア、ハンガリー、ブラジル、など22カ国に輸出されているという。
しかし、中国製ワクチンは、WHOの緊急時使用リストに入っていない。
また、中国製ワクチンの第3相臨床試験のデータは、いずれも国際的な同業者からの審査評価を通過していない。試験から得られた予防率が基準を満たしていないためとされている。
一方、米ファイザー製ワクチンは97%の有効性を示している。
高氏はワクチンの有効性を高めるため、「種類の違うワクチンを交互に接種すること」を挙げ、「mRNAワクチンを無視してはいけない」と言及した。
米製薬大手のファイザー製ワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンと呼ばれる新しい技術を採用している。
中国疾病予防管理センターの予防接種プログラムの主任専門家である王華清氏によれば、中国で開発されたmRNAワクチンはすでに臨床試験段階に入ったことを明らかにしたが、その投与可能な時期については明言していない。
専門家は、混合ワクチンが予防効果を高める可能性があると考えている。英国の研究者は、米ファイザー製ワクチンと英アストラゼネカ製ワクチンの可能な組み合わせについて研究している。
一方、中国官製メディア「環球時報」は11日、高福氏の成都での発言に関するメディアの「誤解」を解くため、同氏へのインタビューを掲載した。同紙によると、高氏は、自分が中国製ワクチンの有効性が低いことを「認めた」とする一部メディアの報道を断固として否定し、「まったく誤解だ」と釈明したという。
(大紀元日本ウェブ編集部)