4月21日午後、衆議院議員会館で「南モンゴルを支援する議員連盟」の設立総会が開催された。高市早苗元総務相や山田宏議員など多数の国会議員が出席し、静岡大学の楊海英教授が講演を行った。中国の人権侵害を非難する国会決議に向けてウイグル議連などと協働する。
内モンゴルでは中国共産党による弾圧政策が行われている。モンゴル語での教育が禁止されなど、文化に対する破壊が進んでいる。これに対しモンゴル人が反発し、小学校の教師が自ら命を絶つ事件も発生した。
議員連盟の会長を務める高市早苗元総務相は、「日本が行動を起こそうとすると、中国共産党は(内モンゴルの人権問題を)内政干渉であると言ってくると思う。しかし、内政干渉ではなく国際問題であると考える」と強調した。
また、在日モンゴル人留学生とその家族が恫喝されているとの情報を受けて、高市議員は「日本人は日本国の法律に従って彼らの安全を守り抜く責務がある」と述べた。
楊海英教授は講演のなかで、日本とモンゴルのつながりは戦前にまでさかのぼることができると述べた。また、中国で発生した文化大革命の時期に、数十万のモンゴル人が逮捕、拷問、殺害されたことを紹介した。
日本とモンゴルはかつて防共回廊を形成していたと指摘し、今後は「覇権主義・反人道主義の拡張防止回廊」を形成することが必要だと主張した。
総会の出席者によると、内モンゴルの人権問題について取り上げる議員連盟は世界で初めて。
設立総会で講演を行った楊海英教授は大紀元の取材に対し、「モンゴル議連の成立は日本の人権外交の一環」と述べ、国会の積極的な人権外交の進展に期待を示した。また、「中国では宗教の自由がないので、法輪功や地下協会、チベット仏教など、中国の人たちは民族を問わず宗教信仰の自由が保障されるよう関わってほしい」と語った。
山田宏参議院議員は取材に対し、「(議会は)これまではウイグルやチベット、香港での人権弾圧について取り上げてきたが、内モンゴル自治区の人権状況に関する議連は初めて。法輪功も含め、日本の国会の力を結集し、人権弾圧が一日も早く終わるように行動していきたい」と述べた。
議連の事務局を担当する上野宏史衆議院議員によると、南モンゴルの人権問題について国会で勉強会を行った際、議連を立ち上げる話題が持ち上がったという。議員は、「昨年の秋からの取組みが実ったことは感慨深い」と述べた。いっぽう、「ウイグルやチベットと比べると、国民の間でも議員の間でもまだ理解が十分ではない」ことは課題だと語った。
総会に参加した南モンゴルの国際連帯組織「クリルタイ(世界南モンゴル会議)」のオルホノド・ダイチン幹事長は取材に対し、「今日まで南モンゴル人は国内外で頑張ってきた。その結果として今日の議連につながったと思う」と話した。チベットやウイグル、香港の人権状況は盛んに議論されているが、南モンゴルは取り上げられる機会が少ないと述べ、「南モンゴルの状況については知名度が低い。しかしこれは南モンゴルで問題が起きていないことを意味するのではない」と話した。
(王文亮)