米政府系機関、米国際宗教自由委員会(USCIRF)は21日、年次報告書を公開した。報告書は、中国当局は2020年にも中国の伝統気功・法輪功の学習者を弾圧しており、学習者への強制臓器収奪も続けているとの認識を示した。
USCIRFは、信教の自由に対する激しい侵害、または侵害を容認しているとして、中国当局やミャンマーなど14カ国の政府を宗教自由の「特別懸念国(countries of particular concern、CPC)」に認定した。
同報告書は、「複数の報道によると2020年、数千人の法輪功学習者が信仰を実践しているという理由で、嫌がらせを受けて逮捕された。そのうち一部の学習者は拘束中に虐待や拷問を受けて死亡した。また、国際団体による信ぴょう性のある調査報告書によれば、法輪功学習者などへの強制臓器摘出は引き続き行われていた可能性が高い」との見方を示した。
法輪功情報サイト「明慧網」の報道では、2020年、少なくとも84人の学習者が迫害で死亡した。うち21人は強制収容所や警察の勾留施設で亡くなった。
USCIRFの報告は、中国当局は刑法第300条を根拠に、法輪功学習者などに対して、3~7年の禁固刑を科していると指摘した。場合によって、無期懲役を言い渡すこともあるとした。
中国では、一部の人権弁護士は、当局が迷信による宗派や秘密結社を取り締まる刑法300条を悪用して法輪功学習者を弾圧していると主張している。2017年、人権弁護士の余文生氏が法廷で天津市に住む学習者の李文さんを弁護した際、「いわゆる法に基づく弾圧は実際、意図的に法を悪用し、法輪功学習者を陥れて無実の罪を着せるためにある」と非難した。
一方、年次報告書は、中国当局による新疆ウイグル自治区や香港での人権侵害、チベット仏教徒やキリスト教信者への弾圧を批判し、ウイグル人の強制労働による米企業供給網(サプライチェーン)への影響に懸念を示した。
報告書は、米政府に対して、「中国当局が2022年の冬季オリンピックを開催することに懸念を表明し、中国当局による信教の自由への弾圧が続くのであれば、米政府関係者が大会に参加しないことを表明する」ことを求めた。
また、USCIRFは米政府に対して、孔子学院を含む中国共産党の米国内における影響力拡大への対抗を一段と強化するよう要求した。中国共産党の影響力拡大で、「中国国内における信教の自由に関する情報や主張が抑制された」とした。
(翻訳編集・張哲)