中国政府が少数民族ウイグル族を対象に、AIプログラムと顔認識カメラを利用した「感情認識システム」を運用していたことが明らかになった。同プログラムは、中国の華為技術(ファーウェイ)が開発に関与した可能性も提起されている。
英BBCは25日、匿名の中国人ソフトウエア・エンジニアとのインタビューより、中国政府が運用している「AI感情認識システム」関連資料を報道した。同エンジニアは問題となったシステムについて「カメラを通じて表情と肌、毛穴の微細な変化まで感知し、チャートでウイグル族の心理状態を細かく分析できる」と説明。「感情認識システムはうそ探知機に似ているが、はるかに進んだ技術で、現地の公安にはこうしたシステムが設置されている」と実態を伝えた。
ウイグル族に対する中国政府の新たな人権侵害も明らかになった。現地の目撃談によると、ウイグル人の手首と足首に拘束具が装着され、まるで「実験用マウス」のように扱われていたこともあったという。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのソフィー・リチャードソン事務所長はBBCのインタビューで、新疆ウイグル自治区の警察は「一体化統合作戦プラットフォーム(IJOP)」という監視プログラムを運営していると述べ、「(ウイグル人が)非常に強圧的な環境で暮らしており、かなりの圧力を受けていることを示している」と述べた。
中国内で独自開発されたスマートフォンやアプリも監視ツールとして悪用されている。ウイグル族の監視について、米コロラド大学・アジアセンターのダレン・バイヤー博士はインタビューで「ウイグル族は地域公務員にDNAサンプルを提出し、連絡先リストや携帯メールを収集する政府アプリをスマートフォンにダウンロードしなければならない」と述べ、「彼らは、スマートフォンを携帯しなければ拘禁され、脱出できないと感じている」と説明した。
中国の通信技術企業のファーウェイが、少数民族の監視に活用できるAI顔認識システムの開発に関与した可能性もある。BBCは米映像監視企業IPVMの資料を引用し、ファーウェイと中国科学院が2018年7月に出願した特許から、顔認識を通じて民族、年齢などを識別できるシステムがあることを報道した。
中国は世界で監視カメラが最も多い国で、政府が国民の一挙一動を監視、統制できる「ビッグ・ブラザー」体制だと批判され続けてきた。犯罪率低下の名目で施行されている監視体制は、少数民族、民主化運動、法輪功弾圧などに悪用されている。
(編集・潤水)