トランプ前政権でウイルス発生源の調査を担当したデビッド・アッシャー(David Asher)氏は5月29日、英紙デイリー・テレグラフに対し、武漢ウイルス研究所のある職員が米諜報機関に、同所研究者の妻が2019年12月に特殊なウイルスに感染し死亡した情報を提供したと明かした。
同氏は「これはウイルスが人から人への感染を示す初期的手がかりになるはずだった。しかし、北京がそれを公表したのは1カ月も後だ。それが感染拡大につながった」と指摘した。
中国当局が公式に伝染病の発生を発表したのは、2020年1月20日だった。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は最近、武漢ウイルス研究所の研究者3人が、2019年11月に病院で治療が必要になるほど体調を崩していたと報じた。この情報は今年1月に発表した米国務省の声明の中に含まれている。
「インフルエンザよりも、武漢ウイルス研究所の研究者らはコロナウイルスに感染していた確率のほうが高い」とアッシャー氏は指摘する。治療を受けた研究員らは7年前に中国雲南省の山奥で見つかった「RaTG13」というウイルスを研究していたという。「彼らがそろって重病にかかる確率はどれほどあるのだろうか」と疑問を投げかけた。
RaTG13ウイルスは、現在のパンデミックを引き起こしたコロナウイルスの遺伝子配列と96%一致している。武漢ウイルス研究所のコウモリウイルスの専門家である石正麗氏が率いる研究チームは、同ウイルスに関する研究論文を発表していた。
しかし、2020年のパンデミック発生後、石氏のチームは新しい論文の中で同ウイルスの名称を密かに変更した。石氏は、名称の変更は、ウイルスの特徴や収集源の特定を容易にするためだと主張した。
中国政府は、武漢ウイルス研究所の研究者が感染したという米側の主張を否定し、同所研究者でコロナウイルスに感染した人は一人もいないと主張した。
米国務省は1月の声明で、中国政府は外部による、武漢ウイルス研究所の研究者への取材と同研究所のコロナウイルス研究記録へのアクセスを妨害したと言及した。
バイデン米大統領は5月26日、ウイルス発生源の解明に向けた追加調査と90日以内の報告を米情報機関に指示した。
バイデン氏は現在、米情報機関は確かな結論を出すには情報が十分でないとし、中国政府に対し、発生源に関する2回目となる調査に政治的な干渉を加えないよう求めた。
(大紀元日本ウェブ編集部)