天安門事件、中国で風化の恐れ 「情報統制で若者がほとんど知らない」

2021/06/07 更新: 2021/06/07

中国共産党が民主化運動を武力で弾圧した1989年の天安門事件から今年で32年になる。各国で記念行事が行われるなか、中国当局は依然としてこの歴史を意図的に軽視、隠蔽および歪曲しようとしている。現在の中国国内の若者は洗脳教育の下で、この事件についてほとんど何も知らないのだ。

仏メディア:共産党は血塗られた歴史を消し去ろうとしている

フランスのウェブサイトAsialystは最近、「六四天安門事件の大虐殺―忘れ去られた現実」と題する記事を掲載した。著者は元AFP(フランス通信社)記者のPierre-Antoine Donnet氏である。

記事の中で、「32年経った今でも犠牲者数は不明のままだ」と述べた。さらに、「中国共産党は血塗られた過去を歴史から消し去り、すべての情報をブロックしようとしている。事件を知る者は恐怖心などにより、事件のことを口にするのを忌み嫌っている。若い世代のほとんどは、6月4日が何であるかを知らない」

「香港当局はパンデミック対策を理由に恒例だった追悼集会を禁じた。中国の民主改革に理解を示したために失脚した当時の趙紫陽(チャオツーヤン)元総書記の名前はいまだに封殺されている。彼を慕い墓参りした人々は、中国当局者に尾行されている」と指摘した。

中国の若い世代は、六四天安門事件について何も知らない

ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は3日、中国当局は天安門事件など重大な歴史的事件を隠蔽、歪曲し続けていると指摘する分析記事を掲載した。

記事の中で、中国共産党が口を閉ざして語ろうとしなかったのは、天安門事件が「ほぼ全民参加の運動だった」ということだ。中国当局は当時、丸腰の学生や市民に向けて発砲するよう軍に命じた。その結果、多くの人々が殺害された。

今年の結党100周年に合わせて出版した「中国共産党簡史」では、天安門事件をきっかけに、中国共産党は過去、現在および未来についてより冷静に考えるようになったと記している。

記事は「中国当局は当然ながら真実の開示や責任の引き受け、補償しようとしていない。それどころか、事件に関する記憶を消し去るためにさまざまな措置を講じている。若者世帯は32 年前に起こった民主運動についてほとんど何も知らないのだ」と述べた。

若者は洗脳され、中国当局は白色テロを実践

天安門事件を経験した河北省の文学・歴史学者である李浩氏は最近、ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、今の中国の若者が世界に衝撃を与えた民主化運動を知らない理由について分析した。主に中国当局による情報独占や事件の経験者が口封じされているためだとしている。

李氏は、中国当局が今、若者が事件のことを知るのを阻止している。政府は「国政について話すな」「お金を求めろ」と若者が拝金主義に走るよう仕向けていると指摘した。

湖南の中学校教師の甄氏は、「ニュースメディアから教科書まで、意図的に事件に関することが消されている。たとえ事件について聞いたことのある人でも、その理由と当時の惨状までは知らない」

「どの世代の指導者でも、その功罪は全て過ぎ去ってしまう。歴史は人々に知らせるべきであり、また人々に評価されるべきだ。なぜ評価を恐れているのか?」と述べた。

「今の若者はお金、飲食、遊びにしか興味がない。皆、スマートフォンを使いティックトックで遊び、イイねを押している。誰もが自分の動画を美しく飾り、自分自身を美化している。しかし、公平と正義などには興味も関心もない」と甄氏は嘆いた。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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