一部の国際専門家は、「ネイチャー」や「ランセット」など欧米の主要科学・医学雑誌が、新型コロナウイルス(中共ウイルス)の研究室から漏洩する可能性について分析した数十の論文を拒否した可能性があるとして、調査を呼びかけた。
米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は豪フリンダース大学の医学教授であるニコライ・ペトロフスキー(Nikolai Petrovsky) 氏の発言を引用して、「中国から来る収入がどんどん増える中、これらの雑誌の経営陣は中国の機嫌を取ろうとしているのかもしれない」と指摘した。
同教授はまた、「中国側も自分の支持する雑誌は共産党の政策に従わなければならないと明言している」
「ウイルスの起源を疑う多くの論文は、審査に送られる前、すでに『ネイチャー』や『ランセット』などの編集者によって迅速に却下されている」「このようなやり方はおそらく科学に基づく理由ではなく、これらの雑誌の高層が政治的、または他の理由による決定に基づいている」と指摘した。
「ネイチャー」や「ランセット」の編集者らは疑惑を否定した。掲載する作品の選択は、政治的要因からではなく、科学的価値に基づいて行われているとした。
今年1月、中国・武漢を訪問した世界保健機関(WHO)の起源調査チームは、ウイルスの実験室流出説は可能性が極めて低く、ウイルスが中間動物宿主を介して人に感染した可能性が非常に高いと判断した。
しかし、多くの科学者と欧米国家の政府がWHOの結論を批判し始めている。彼らは、中国当局がWHOチームによる調査を妨害したため、調査を無価値なものにしたと主張している。
ペトロフスキー教授も懐疑的な立場をとる数十人の科学者のうちの一人である。科学者たちはWHOの見解の欠陥を指摘した後、欧米の主要科学雑誌から敵視されるようになったという。
米ラトガース大学の化学・化学生物学教授のリチャード・エブライト(Richard Ebright)氏は査読されていない一部の論文が、WHOの見解を支持していれば、すぐに掲載されていると指摘した。
これらの論文は世論を誘導し、世界中の読者や視聴者にも影響を与えていると科学者たちは主張する。
エブライト氏は、2020年1月~2021年初頭まで、一部の科学者と多くの科学記者らは「科学的証拠が自然発生の理論を支持している」という嘘の主張を確立し、強化していった。それと同時に、「その嘘の主張が科学界のコンセンサスである」という別の嘘の主張を強化した」と指摘した。
しかし、ネイチャー誌の編集長であるマグダレーナ・スキッパー(Magdalena Skipper)氏はVOAに対し、「ネイチャーは特定の主張や伝統的な主張に準拠していないという理由だけで、論文を却下したことは一度もない」と否定した。また、編集上の決定は、雑誌の出版社の商業的利益とは別ものだと主張した。
ランセットの編集者も同じく、出版社の利益は編集上の決定に影響を与えることはないと主張した。
しかしVOAは、4年前の英フィナンシャル・ タイムズ紙の報道を引用して、ランセットは自社の数百もの学術論文が中国政府の「デリケートな話題」に関わるため、中国ではアクセスできないと認めていると報じた。
また、「ネイチャー」を所有する出版社「シュプリンガー・ネイチャー」は中国の教育機関や政府の研究機関と、数十の提携関係および資金援助協議を締結していることも指摘した。
先月、バイデン米大統領は、米国の情報機関に対して中共ウイルスの起源をめぐる調査を強化し、90日以内に自身に報告するよう指示した。
報道によると、英国および他の西ヨーロッパの諜報機関も米国主導の新たな調査への支持を表明したという。
英誌「ランセット」や英誌「ネイチャー」のほかにも、米科学誌「サイエンス」などの他の主要雑誌も批判の的となっている。
ペトロフスキー氏は、今回のパンデミックによって、科学機構が政治的な影響を受けやすいという実態を浮き彫りにしたと指摘した。
同氏はまた、「中国は、欧米の定期刊行物に絶えず悪影響を及ぼすと同時に、直接管理できる大量な定期刊行物を独自に発行している」
同氏は「(豪州)議会による調査は良い第一歩となるかもしれない」との考えを示したうえで、「最終的には国際的な努力によって解決されるべき問題である」と強調した。
(大紀元日本ウェブ編集部)