米情報機関は、昨年初め同国で中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染が広がる前に再入国した中国人留学生ら約400人を調査していることがわかった。
米メディア「ワシントン・フリー・ビーコン」はこのほど、米政府の内部文書を引用し、情報機関が昨年1月に米国に戻った中国人留学生や学者の数百人を調べていると報じた。内部文書によると、留学生らは予定より早く米国に再入国した。
同文書は「チームはデータベース(乗客氏名の記録、Passenger Name Record)に登録されている5万8000人の中国F/Jビザ(就学ビザと交流訪問者ビザ)保持者を調査した。そのなかに、2020年1月以降に再入国が予定されていたにもかかわらず、2020年1月に帰国した396人を特定した」と明らかにした。
内部文書は、中国人留学生らが予定より早く米国に戻ったことは、米政府の渡航規制を避けるためであるとの見方を示した。また、文書は、中国人留学生が再入国を早めたのは、多くの中国国民が中共ウイルスの深刻さを認識していたことを示唆していると指摘。
昨年1月30日、世界保健機関(WHO)の緊急委員会は、中国での感染発生状況を受けて「世界的な緊急事態」と宣言した。同日、米国のトランプ大統領(当時)は、感染対策として、中国からの渡航者の入国を禁止する大統領令に署名した。これは、発生源である中国武漢市の市当局が、都市封鎖を指示した8日後のことである。
ワシントン・フリー・ビーコンは、米政府は現在、この396人の中国人学生らについて、中国当局のスパイかどうか結論付けておらず、調査を続けているとした。しかし、米政府の内部文書は、中国当局者が密かに予防策を講じながら、中共ウイルスの起源と感染の深刻さを故意に隠ぺいしたことを示唆したとの見解を示した。
いっぽう、米教育監督団体は、内部文書は米国の緩い学生ビザ制度がもたらす国家安全保障上のリスクを反映したと示した。
全米学識者協会(National Association of Scholars)の上級研究員、レイチェル・ピーターソン(Rachelle Peterson)氏は、「中国当局は、諜報活動の重要な部分として、従来と異なる情報収集の手段を利用している」とワシントン・フリー・ビーコンに語った。
同氏は、「最先端の研究と技術的発明、他の形の知的財産権は中国当局の主要なターゲットだ。中国共産党は、外国に住む中国国民に対して、共産党の役に立つものを中国国内に持ち帰らなければならないという義務感を持たせている」と強調した。
トランプ前政権は、中国人留学生や学者による技術流出に警戒を強めていた。2020年9月、米政府は中国軍と関わりがあるとして、中国人留学生の学生ビザや研究ビザを1000件以上取り消した。
(翻訳編集・張哲)