国際社会は中国広東省の台山原子力発電所への関心を強めている。ブルームバーグは放射能漏れよりも、その背後にある政治的な要因に注目すべきだとの見方を示した。
米CNNは14日、仏の原子炉メーカーであるフラマトムは米政府に対して、台山原子力発電所について「差し迫った放射能物質による脅威がある」と警告したことを報道した。フラマトムは米エネルギー省に支援を要請する書簡を送付した。同社は台山原発の建設に関わっていたという。
台山原子力発電所は香港西部から130キロ離れた場所にある。フラマトムの親会社であるフランス電力公社(EDF)が台山原発に30%出資した。中国国営企業、中国広核集団(China General Nuclear Power Corporation、CGN)の出資は51%という。
ブルームバーグ15日付によると、米原子力規制委員会(NRC)の元メンバーであるジェフ・メリフィールド(Jeff Merrifield)氏は、台山原発1号機内部で確認された放射性希ガスの漏れは、燃料棒のコーティングの破損が原因である可能性を示した。同氏は、燃料棒の破損は業界内では「珍しいことではない」とし、管理側が対処法を知っているため、「通常は脅威ではない」とした。
ブルームバーグは、フラマトム社が米政府に通報したことに強い懸念を示した。放射能漏れの可能性と比べて、中国のCGNと仏EDFの間でコミュニケーションが取れていないように見える状況のほうが不安だと指摘した。
EDFは14日、中国側により多くの情報を提供するよう求めた。
カナダの原子力学者、M.V.ラマナ(M.V. Ramana)教授は「EDFが米政府機関に連絡を取ったということは、EDFは(中国当局側の)このような重要な情報へのアクセスに関して何らかの懸念があることを示唆した」と推測。
専門家は、中国当局に対して透明度を高めるよう要望した。メリフィールド氏は「この問題に関する公開情報が不足すると、人々は不必要な不安を抱く」と述べた。
中国生態環境省は16日ウェブサイト上で、CNNの報道をめぐって、「いかなる放射能漏れも発生していない」と否定した。しかし、1号機内の6万本余りの燃料棒のうち、5本ほどが破損し、これによって冷却水内の放射線量が上昇したと明らかにした。
米バイデン政権は今月3日、中国のハイテク企業や軍事関連企業59社に、米企業や国民が投資することを禁止するとの大統領令を発表した。中国のCGNがその1社である。
いっぽう、仏のフラマトム社も米国で事業を展開している。
中国人原子力学者、リ・ニン(Li Ning)氏はロイター通信に対して、台山原発に関してフラマトムは米政府からの許可がなければ、同原発の技術問題を解決できないと指摘した。
(翻訳編集・張哲)