香港警察当局は17日朝、香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで、中国当局に批判的な報道で知られる香港紙、蘋果日報の幹部5人を拘束し、事務所を家宅捜査した。同紙は声明を発表し、今後も報道機関としての責務を果たすと強調した。台湾政界は、香港当局による同紙への締め付けは中国共産党の邪悪な本質を再び浮き彫りにしたと非難した。
17日午前7時ごろ、100人以上の警官が蘋果日報の事務所に入り、事務所にある資料を持ち出し、編集部にあるパソコン少なくとも44台を押収した。
逮捕された5人は、蘋果日報の陳沛敏・副社長、羅偉光・編集長、張志偉ディレクター、同紙の親会社である壱伝媒(ネクスト・デジタル)の張剣虹・最高経営責任者(CEO)と周達権・最高執行責任者(COO)。当局は、蘋果日報を含む企業3社の資産、計1800万香港ドル(約2億5567万円)を凍結した。
香港警察国家安全処の李桂華・高級警司は同日の記者会見で、蘋果日報は外国勢力と共謀して国家安全保障を脅かしたと述べた。李氏は、同紙の報道記事数十本は、外国政府および外国機関が中国と香港の当局者に制裁を科すことの根拠となったとした。しかし、警察当局は、「どの報道記事が国安法に違法したか」という報道陣の質問に回答しなかった。
蘋果日報は同日午後、読者に向けて声明を発表した。声明は、香港の一国二制度が崩壊したが、「『蘋果日報』のスタッフ全員は各自の持ち場を堅く守り続け、夜明けを迎えるために最後まで戦っていく」とした。
香港記者協会の楊健興・主席は、香港当局が蘋果日報の幹部らを拘束したことを非難し、香港の報道の自由が侵害されていると示した。楊氏は、市民が当局の取り締まりを恐れて情報を提供しなくなることや、香港の報道機関が一段と自己検閲を行う可能性に懸念を示した。
台湾政界は香港警察に批判を強めている。
無所属の林昶佐・立法委員(国会議員に相当)は台湾通信社「中央社」の取材に対して、中国当局が香港国安法を可決して以降、香港の民主主義が壊滅状態に追い込まれ、報道の自由や言論の自由がなくなりつつあると指摘した。同氏は「このような全体主義的な行動は、中国当局の邪悪な本質を改めて証明した」と述べた。
(記者・張暁慧、翻訳編集・張哲)