台湾メディアによると、25日をもって休刊する見通しの香港紙・蘋果日報は、最終日に100万部を増刷する計画だ。また、同社のグループ週刊誌「壱週刊」の黄麗裳社長は23日、フェイスブック上で読者へのあいさつ文を掲載し、同誌の休刊を示唆した。
台湾・中央社23日付によると、蘋果日報の社内情報筋の話を引用し、同社の多くの社員はこのほど、辞職届または休暇届を提出した。離職者の人数は不明だが、残った社員は今週金曜日まで職務を全うするという。
情報筋は、26年間の歴史に別れを告げるために、同社は25日の最終号を100万部に増刷する計画だと話した。
また、「会社の取締役会が25日に事業を継続するかどうかを決めることになるが、社員の大半は仕事を辞めるだろう。これは、最前線で動いている社員の共通認識だ」という。
香港警察は17日、蘋果日報の本社ビルに対して家宅捜査を行い、香港国家安全維持法(国安法)に違反したとして、同社の幹部5人を拘束した。また、蘋果日報と関連会社2社の資産、計1800万香港ドルを凍結した。
資金凍結で、同社の運営は困難となった。
香港警察は23日、同じ理由で蘋果日報の主筆、李平氏を拘束した。
「壱週刊」の黄麗裳社長は23日、フェイスブックに「混乱しているオフィスの中で、感情を押さえながら、ここから去る準備をするよう自分に言い聞かせている」と投稿した。
ネットで蘋果日報の動画ニュースを伝える番組の女性キャスターは21日夜、「これが最後の放送になります」と視聴者に別れを告げた。「道は険しくても、真実を守るために引き続き職務に当たってほしい」と同業者に呼びかけ、「香港人の皆さん、ご自愛ください。縁があればまた会いましょう」と締めくくった。
蘋果日報は1995年に創刊した。中国共産党に批判的な報道を続けてきた同紙は香港返還の前、市民の間で人気が高かった。
(翻訳編集・張哲)