香港当局の締め付けによって、中国当局に批判的な地元紙、蘋果日報が25日廃刊に追い込まれたことを受けて、香港の民主派ニュースサイト「立場新聞(Stand News)」は27日、今年5月より前に発表した評論記事などをサイトから一時取り下げ、新有料会員の受付などを中止する措置をとると発表した。同社の取締役6人が辞職したことも分かった。
立場新聞は27日午後9時頃、フェイスブック上で決定の声明を公表した。同社は、「香港では、文字の獄がすでに始まった」とし、記者や編集者、支持者らを保護するために対策を講じざるを得ないとした。
同社の対策は主に5つある。まず、5月より前に掲載したブログ記事、評論記事、他のサイトから転載した記事、読者の投稿などを一時取り下げる。今後の掲載に関しては、作者に意思確認をしてから、再掲載する可能性がある。同時に、サイト上の記事を複製・保存する。いっぽう、同社が取材し編集した報道記事、映像などの更新はこれからも続ける。
同社は、「われわれは引き続き真相を求めて行き、ブロガーの皆さんに記事を発表する場所を提供していく」とした。
2つ目は、(当局の取り締まりによる)支援者の経済的な被害を回避するために、スポンサーの募集や受け入れ制度を一時停止する。「MyStand」に加入した有料会員の毎月の会費振替業務を中止し、新規会員の受付業務も停止する。
3つ目は、支持者に対して、その支援を「言論の自由と報道の自由を続ける他の独立したメディア、記者、評論家、報道関連組織に提供するよう」呼びかけた。
4つ目は、5月以降、入社半年以上の社員との雇用契約を終了し、法令の規定より高い補償金を提供した。また、今までとほぼ同じ雇用条件で、元社員らを再雇用した。元社員の大半は再雇用され、今まで通りに勤務している。
最後に、立場新聞の8人の取締役のうち、余家輝氏ら6人が辞職した。
香港当局は、香港国家安全維持法(国安法)に違反したとして取り締まりを強化した結果、蘋果日報が24日に最終号を発行し、26年間の歴史に幕を下ろした。香港では、当局の次の狙いは立場新聞だとの見方が広まっている。
中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の香港代表、呉秋北氏は22日、香港メディアの「香港01」を名指し、「反中かつ反共で、香港をかく乱している」と非難し、「なぜ自ら事業をやめないのか」と発言した。
いっぽう、立場新聞が発表した声明は、過去1年間に国安法は「私たちが知っている香港を変えた」が、「重要で、公共性があって、人々の利益に関わり、報道価値のある事実と観点の報道に尽力する」「設立してからのこの6年間半を大事にして、今後も持ち場を守り、香港の人々と一緒に歩み、支持者と読者の心を大切にし、報道を全うし、香港について書き、香港を記録していく」とした。
(翻訳編集・張哲)