「永遠に続く政党はない」。英紙「エコノミスト(The Economist)」は26日の週刊一面の記事でこう力説した。同記事は、中国共産党(以下、中共)は「思想に対する冷血で残酷な統制」「経済の投機的な発展」「人民には少しだけの蜜を与え、党高官を特権階級にする」という3つの手段で約1世紀にわたって生き延びてきたと指摘した。
記事冒頭では「中共は常に自らを『偉大、光栄、正確』と称している」と指摘した。有権者に選ばれたわけではないが、72年間も中国を統治している。その執政期間はソビエト連邦共産党や朝鮮労働党より少し短いが、「永遠に続く政党はない」と述べた。
中共は冷血で残酷、人民を服従させるのに手段を選ばない
中共が使ってきた3つの手段とは、1つ目は、「冷血で残酷な統治」である。1989年の天安門広場の抗議活動を弾圧する前にためらいを見せたものの、しかし結局は、非武装の抗議者に対して機関銃で虐殺することを選択した。そうして全国民を威嚇し、人々を屈服させた。
今なお、中共の指導者たちは「大虐殺に関して」いかなる疑問をも持たない。 習近平氏はかつて、ソ連が崩壊したのは、指導者たちが肝心な時に「立ち向かう勇気がなかったからだ」と述べたことがある。
上層部のニーズに合わせて思想を変えること
2つ目の手段は、その時の情勢に合わせて思想を変えてきたことだ。1976年に毛沢東が亡くなってから数年後、新リーダーとなった鄧小平は毛沢東の「人民公社」を廃止し、資本主義を受け入れ、市場の力を発揮させた。これにより多くの国有企業は閉鎖され、住宅が民営化された。大量の失業者が生じたが、中国経済は繁栄を見せた。
そして今では習近平氏の指導の下、共産党は再び方向転換した。思想の正当性を重視するようになり、毛沢東思想が再び称賛された。
党員も党幹部も必ず「習近平思想」を受け入れなければならない。官僚も軍隊も警察も、異論者や腐敗を働いた者は粛清された。そして、大企業も民間企業も党支部を設立しなければならない。中国の社会がこれほど厳格な管理下に置かれたのは、毛沢東時代以来のことだ。
人民には少しだけの蜜を与え、党高官は特権階級となった
さらに中共は投機的に人民の暮らしを少しばかり改善することだ。しかし、それと同時に大量の富を吸い上げ、汚職が横行した。最も権力のある一族は全て超富裕層になった。
それでも、農村税の廃止や医療保険などにより、多くの中国人民は自分たちの生活が向上していると感じている。手厚いとは言えないサービスは、他の国々ではすでにやっていることばかりだ。
中共は問題を解決するのではなく、問題を提起する人を解決する
プロパガンダに騙されて中共の強硬手段を称賛する人さえもいる。
中共の官製メディアは党と国家、そして文化の概念を混同させて伝えている一方、米国を人種差別による暴動と銃乱射が頻発する国だと宣伝している。
このようなプロパガンダにより、中国人は、「一党独裁の廃止は混乱につながる」「共産党の独裁に代わるものはない」という誤った思想を植え付けられた。
中共はすべての異なる意見を、監視技術を駆使して芽生え始めた段階で抹殺している。街中に大量の監視カメラが設置され、さらに顔認識の技術も発展させている。ソーシャルメディアまで常に監視され、検閲を受けている。
中共は問題を解決するのではなく、問題を提起する人を解決する。考えや言動が間違っていると判断された人は、仕事や自由が奪われる可能性がある。中共の成功の背後にあるのは、「残忍な鎮圧」である。
「永遠に続く政党はない」
習近平氏にとって最も危険な脅威の源は市民ではなく、党内にある。彼は実にあらゆる努力をしてきたが、それでも党内には忠誠心のない人が存在している。
現在、中共の政治は、数十年前よりも一層厳しくなっている。習氏による終わりのない反腐敗キャンペーンによって、彼はより多くの隠れた敵を作ってきた。
中共にとって最も不安定なのは、後継者問題かもしれない。習氏の後継者が誰であるか知る者はいない。また政権移行時にどのようなルールが適用されるかについても誰も知らない。習氏は2018年に国家主席の任期制限を取り消した。彼は2022年に再任されるだろうと予測されている。
記事は最後に、「自由を愛する人たちが期待するような開放的な統治は、すぐには到来しないかもしれない。しかし、中共によって統治される中国王朝も、いつの日か終わりを迎える。永遠に続く政党はない」と結んだ。
(翻訳編集・李凌)