ドイツ・ヘッセン州のデータ保護規制当局は14日、医療や遺伝子研究や検査などを行う会社、エルシア(Eluthia GmbH)が中国への出生前診断のデータ転送を停止したと明らかにした。また、規制当局は、同社が中国の遺伝子解析大手BGIグループ(華大集団)が開発した出生前血液診断などを使用していることは、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に違反したとして調査を進めているとした。
ロイター通信はこのほど、中国軍とBGIグループが出生前診断を共同開発し、検査で取集した妊婦のデータ保管・分析を行っていると報じた。報道は、データは中国当局に提出される可能性があるとした。
エルシアの本社を置くヘッセン州のデータ保護局(HBDI)は14日声明を発表し、ロイター通信の報道に基づき、エルシア社のビジネスモデルが欧州のデータ保護コンプライアンスに違反しているかどうか調査していると明らかにした。
声明は「秘密研究プロジェクトのために遺伝子データを不適切に使用することは、女性の基本権利に高いリスクをもたらすため、GDPRの違反として適切に対処する」と示した。
同声明によると、エルシア社は、問題が解明され、出生前診断のデータがデータ保護規制に従い処理されていることが確認されるまで、ドイツの妊婦から取った血液サンプルやその個人データをBGIグループの香港の実験室に転送することを停止すると表明した。
HBDIは「出生前診断に関連するすべての処理作業において、データ最小化の原則を確実に実施するよう努める。また、中国へのデータ転送において、政府機関が個人データにアクセスできないように十分な追加保護措置が講じられているかを確認する」と示した。
BGIグループが販売する出生前診断「NIFTY」は、ドイツでは、エルシア社により「PreviaTest」の名称で提供されているという。
(翻訳編集・張哲)