英政府は今後、国内の全ての原子力発電所建設事業から、中国国営企業・中国広核集団公司(CGN)を除外することを検討している。英紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」が25日、情報筋の話として報じた。
今回の決定が実現すれば、CGNが関わっている英サフォーク州での200億ポンド(約3兆円)規模のサイズウェルC原子力発電所(Sizewell C nuclear power station)プロジェクトや、CGNが自社の原子炉技術を使用するエセックス州ブラッドウェルでの原発建設計画などが影響を受けることになる。
最近、香港問題や新疆ウイグル人への人権弾圧、中共ウイルス(新型コロナ)感染症の情報隠蔽などで、英中関係は悪化している。
今回の決定が実現すれば、英中が蜜月関係にあった2015年、当時の英キャメロン政権と中国の習近平国家主席が合意した原発協定を破棄する結果となる。
CGNはこの協定により、英国の原発建設事業への参加が可能になった。CGNはサイズウェルCの20%の株を取得することになる。また、ブラッドウェルB原子力発電所の建設にも投資することになった。
CGNの発電所建設計画は現在、英規制当局による承認手続き中となっている。
消息筋によれば、「CGNがブラッドウェルに発電所を建設する可能性はない」「ファーウェイに対する英政府のアプローチからすれば、中国企業による新たな核発電所の建設を許可するわけがないだろう」という。
英政府は2020年7月、次世代携帯通信網5Gから中国企業ファーウェイ(華為技術)を27年までに段階的に排除する方針を決定した。
また「英国はすでにサイズウェルC原子力発電所の建設を主導するフランス電力(EDF)と、新しいパートナーを見つける可能性について協議している」と付け加えた。
別の関係者がFTに話したところによれば、「英政府はCGNのいかなるプロジェクトへの関与も望んでいない。同社が対立することなく撤退することを望んでいる」と明かした。
米国は2019年にCGNを輸出規制のブラックリストに載せ、同社が軍事目的で米国の技術を盗んだと非難した。
2016年4月、CGNのコンサルタントを務める中国系米国人の原子力技術者が、中国に核技術を提供する目的で、米国外で不法に「特殊な原核物質」を製造しようとしたとして訴追され、有罪判決を受けた。CGNや米国に拠点を置く同氏の会社も訴追されている。
(翻訳編集・李凌)