中国・河南省鄭州市で発生した洪水災害の犠牲者の「初七日」にあたる26日、多数の犠牲者を出した同市地下鉄沙口駅の出口で市民による献花が行われた。一方、政府は花束などを隠すため障害物を設置し、批判を集めた。障害物を外した市民や記者が警察に連行された。
現場で撮られた映像によると、地下鉄の出入り口に置かれた花束には、それぞれメッセージカードが添えられており、カードには犠牲者の名前が書かれていた。
中国紙「紅星新聞」の記者である潘俊文氏は、「初七日を迎えた鄭州地下鉄5号線の犠牲者の遺族は出口で追悼を行ったが、見物人がいる中、関係部門は黄色いブロック板を設置して追悼現場の花を囲った。午後には別の出口も囲まれた」と投稿した。
「当局は追悼式が大規模な抗議活動につながることを懸念している」「どこかで見たことのあるような光景だ。香港? 成都? 今度は鄭州ですか?」と投稿したネットユーザーもいた。
「(当局は)タイムズ誌の表紙を飾れるほどの恥知らずだ」「愛する家族を弔う権利すらない強大な国」とネットユーザーたちは皮肉を混じりながら嘆いた。
市民の王さんは、SNSに「これからやることがある」と投稿した後、数人の鄭州市民と共にフェンスを撤去した。王さんは、「何をブロックしているんだ? 人の帰り道を塞ぐな」とその後も投稿した。
さらに、「パトカーが私を連れ去るのを待っている、パトカーが来た」「故人の家への帰り道を照らしてあげたい。ただそれだけだ」と王さんは最後に書き残し、当局に連行された。
翌日、警備員はより長いフェンスを設置した。しかし、多くの鄭州市民が不満を表明した後、当局は最終的にフェンスを撤去した。
フェンスを撤去した王さんに関する情報は今のところまだない。
中国メディア「財新網」の撮影記者である陳亮氏も当局に連行された。陳氏は27日夕方、現場の写真を撮影した後、鄭州市南陽路派出所によって連行されたという。陳亮氏はその後、釈放された。
27日、鄭州市政府は、同市で発生した地下鉄5号線の浸水事件により14人が死亡したと発表し、死者の名前を公表した。
しかし、中国当局が公表する死亡者数の信ぴょう性は疑問視されている。
同地下鉄の出入口で、連絡の取れなくなった家族や友人の情報を求め、連日のように大勢の人たちが現場にとどまっている。
地下鉄の出入口に座り込み、娘の帰りを待つ父親の姿も見られた。ぼんやりとする父親のそばに止められた自転車には「娘よ、お父さんはもう一度あなたを家に連れて帰りたい」と書かれた板が掲げられていた。
(翻訳編集・李凌)