非営利団体Centre for Information Resilience(CIR)は5日、ソーシャルメディア上の大規模な親中派「スパモフラージュ(spamouflage)」 ネットワークが、米国の銃規制法や中共ウイルス、人種差別といった問題に対する国際的な認識を歪曲するのに使われているとの報告書を発表した。
報告書によると、スパモフラージュはコンピュータで生成された「架空人物」の大規模なネットワークを使って、中国共産党のプロパガンダを宣伝し、西洋、特に米国の信用をおとしめようとしている。ツイッター、フェイスブック、インスタグラム、ユーチューブなどで最先端の人工知能(AI)によって生成されていたボットが利用されている。
報告書は、いくつかのユーザーアカウントは、他の人が所有していたアカウントをボットが乗っ取ったもので、中国共産党のオンラインプロパガンダ作戦を実行するために使われていると指摘した。
CIRは、否定的な感情に満ちたテキストを投稿する350以上の偽アカウントを発見した。これらのアカウントは、米国の中共ウイルス対応に対する疑念を増幅させ、米国での差別や銃乱射事件をめぐってユーザーを煽ることを目的とする。これらの投稿は英語と中国語で行われている。
また、漫画や動画などのビジュアルコンテンツを配信しているアカウントもある。中共ウイルスは武漢の研究所から流出したという米国政府の主張に疑念を抱かせたり、新疆ウイグル自治区での人権侵害疑惑を否定したり、米国に亡命した中国の大富豪・郭文貴氏や香港大学公共衛生学部のウイルス学者・閻麗夢博士について偽情報を流すなどしている。
ボットの投稿は、中国共産党機関紙・人民日報傘下のメディア「環球時報」の編集長や中国外交部の報道官などの主張を反映している。
報告書の著者であるベンジャミン・ストリック氏は「私たち調査は、重要な問題について国際的な認識を歪めようとする意図的な取り組みがあったという証拠を示している。これは中国を優位に立たせるものだ」と述べた。
CIRは、ソーシャルネットワーク上で使用されている特定のハッシュタグにパターンを見出し、中心となるアカウントのコンテンツやハッシュタグを後押しする複数のアカウントを発見した。CIRは、コメント、リツイート、「いいね!」の比率が「非常に不自然」であると指摘した。
CIRは、中国共産党政権がこのネットワークを後援していることを示す具体的な証拠はないとしている。しかし、このような操作は、ソーシャルメディアのプラットフォームが過去に削除したユーザーアカウントと類似する特徴がある。
CIRの共同設立者兼エグゼクティブ・ディレクターのロス・バーリー氏は、各プラットフォームが作為的な行動について「調査し、特定し、削除する」ことを強く求めている。「このネットワークを運営している者を明らかにすることが重要だ」と述べた。
ツイッターは2020年6月、中国共産党と関わりがあるとみられるアカウントを、17万件以上削除している。これらの偽アカウントは、中国共産党政権を賞賛し、香港の民主化運動や米国を攻撃する投稿を積極的に拡散していた。
(翻訳編集・蓮夏)