大和証券が発表した最新調査報告書は、中国当局が深刻な財政不足に直面しており、新税導入は時間の問題だとの見通しを示した。来春、中国当局が全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を開催する際に新税の導入を発表する可能性が高いという。
中国当局がこのほど「富の再分配」を通して「共同富裕」を実現していく方針を打ち出し、富裕層や大手企業に対して寄付や慈善活動を促していくと示した。ロイター通信23日付によると、大和証券は報告書の中で、実際には数カ月前からすでに、スマホメーカーのシャオミ(小米)、動画共有アプリのティックトック(TikTok)、IT大手のテンセント(騰訊控股)創業者の馬化騰氏らは数十億元の寄付を行ったと指摘した。
大和証券は、来年2月の全人代会議では、富裕層や企業の寄付活動に関する詳細規定、または立法が行われる見通しだとした。
報告書は、中国本土では過去数年間、財政政策や様々な景気刺激策に頼ってきた結果、中央政府と地方政府ともに巨額な財政赤字へと陥っており、「財源が急速に枯渇しつつある」と警告した。同投資銀行は、中国当局は今後、新税導入の可能性が高いとした。
実際に、中国国内ではここ数年、不動産、遺産相続、資本収益(株式などの資産を売却した際の利益)への課税に関する議論が行われている。大和証券はこれらの税の導入は時間の問題で、来年2月の全人代は当局にとって良いタイミングだとの見方を示した。
習近平国家主席は17日、中央財経委員会会議で、金融リスクの防止対策をより良く講じ、経済・金融大局の安定を確保することを強調し、「共同富裕」や高所得層を対象とした「富の再分配」に関する政策方針について発言した。
この会議の翌日、テンセントは、農村の活性化や低所得者層の所得向上のために500億元(約8475億円)を寄贈すると発表した。
(翻訳編集・張哲)