東京都民の防災意識を高め、家庭でも用意できる防災用品の備蓄を呼びかけるべく、都庁は特設サイト「東京備蓄ナビ」を今年3月に公開している。東京都がウェブサイトで防災用品の備蓄を呼びかけることには、どのような事情があるのか。大紀元は東京都庁を取材した。
なかなか進まない防災用品の備蓄
東京都が「東京備蓄ナビ」を公開したのは今年の3月頃。防災対策の一環として、家庭での日用品や食料等の備蓄を呼びかけてきたものの、従来の方法では効果が薄かったという。
「防災の備蓄について、分析をすると頭打ちになっているのが分かる。(東京都として)伸びていない状況」だと都庁の担当者は述べた。
その理由は、「よくわからないから」だった。「何を備えていいのかわからない、どのくらい買えばよいのかわからない。どのような品目をそろえるのか、どのくらいの量を備えるのか(都庁担当者)」。実際、予見しにくいリスクに備えることは容易ではない。「東京備蓄ナビ」を通して各家庭に必要な品目を提示したのもそのためだった。
実際、居住する建物の規模や家族構成等によって、備蓄すべきものはかなり異なってくる。ニーズに応じて備蓄を行うことができるよう、「東京備蓄ナビ」では条件を細かく設定することができるようになっている。
「備蓄ナビのサイトでは、家族構成に応じて必要な量が出てくる。そして、マンションの高層階に住んでいる方と平屋に住んでいる方は備蓄の量が変わる。例えば、タワーマンションで停水したとき、水を手に入れる労力は平屋での停水と全然違う。その目安としての量を提示した(前出都庁担当者)」
多様なニーズに対応
「東京備蓄ナビ」では居住する建物の種類や家族構成のほか、年齢層、そしてペット飼育の有無についても条件設定することができる。
実生活に即した内容であるため、ツイッター上の反応はポジティブなものが多いそうだ。
「自分では思い浮かばないようなものに気づかされた、という感想が多々ある。あとは、マンションだから水は多く蓄えないとだめだと分かったという声も多くあった。このサイトは不安に思っている方々のために作った」と担当者は語った。
また、プライバシー問題が顕在化する今日、自宅に損害がなければそのまま在宅で避難することも選択肢の一つだという。
「建物に被害がなければ、避難所に向かわずとも、自分の家で何日間か耐える方が災害時のストレス軽減に役立つかもしれない。避難所はプライバシーの問題などもある。いままでの生活の延長線上で、自宅で避難することも選択肢としてある」。
最後に、都庁の担当者は備蓄することの重要性について次のように述べた。「首都直下型地震に限らず、災害には様々なものがある。東京でも風水害があり、台風も来る。何日間か備蓄があるだけでも、被災したあとの生活が変わってくる」。
(王文亮)