米海軍第7艦隊のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ベンフォールド」は8日、「航行の自由作戦」を実施し、南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島付近を航行したと発表した。
中国当局が1日に「改正海上交通安全法」を施行して以降、同海域内における米軍艦の初の航行となった。
同法は、外国船舶が中国の領海に入る際、目的地や運搬中の貨物の内容などを報告することを義務付けている。さらに、中国の海事当局に対して、中国領海の安全を脅かす可能性があると判断した外国船舶を退去させ、また追跡するなどの権限を与えている。
いっぽう、米駆逐艦ベンフォールドは今回、中国当局が人工島を建設している南沙諸島のミスチーフ礁付近を航行した際、中国当局に報告しなかった。中国側は米艦船が「違法」に領海に進入したと非難し、ベンフォールドに退去を命じたと主張した。
第7艦隊は8日、同ウェブサイト上で声明を掲載し、中国側の発表は「誤りである」と反論した。
「USSベンフォールドは国際法に従って航行の自由作戦を実施した。今後も、公海で通常の運航を継続する」
「海洋法に関する国際連合条約などの国際法の下では、自然に形成された状態で満潮時に水没しているミスチーフ礁のような地形には、領海を主張する権利はない。ミスチーフ礁の上で埋め立て工事を行い、設備や建造物を設置しても、国際法上のこの特徴は変えることができない」と声明は主張した。
南シナ海で軍備拡張を進める中国当局に対抗して、米海軍のカール・ビンソン空母打撃群も南シナ海で演習などの活動を行っている。海軍は8日、同打撃群は現在、海上打撃演習や陸・海・空の各部隊間の戦術連携訓練などを実施していると報じた。
同打撃群司令官のダン・マーティン少将は、「すべての国が国際水域で自由に航行できることは非常に重要だ。世界の海上貿易の約3分の1が毎年通過する南シナ海では特に重要だ」と述べた。
(翻訳編集・李凌)