テレビ、ラジオなど既存の情報媒体の収益減が続いている。総務省は13日、令和2年度の民間放送事業者の収支状況を公表した。主要なテレビ局、ラジオ局による売上高は前年度比で11.7%減、営業損益も同26.1%減でいずれも減少した。
先に発表された広告大手・電通による媒体別広告費では、テレビやラジオの値が下がるなか、インターネット広告はこの数年で急伸。人々の情報入手先の変化がますます鮮明になった。
総務省の資料によると、テレビ、ラジオの事業別当期損益は193社中、黒字146社(前年度164社)、赤字47社(前年度31社)で、赤字企業が増加した。売上高は1兆9863億円で前年度比11.7%減。令和元年度(2019年)よりも売上高が増加した社はわずか2社にとどまった。
デジタル化の加速でインターネットを情報入手の媒体として選択する人の増加は、広告費の変化からみることができる。
電通が3月に発表した令和2年(2020年)日本の総広告費では、媒体別で見ると、インターネットが令和元年(2019年)に地上波テレビと並んで以降、大きく水を開け、2020年には総広告費の36.2%を占めるようになった。地上波テレビは25.0%、新聞は6.0%だった。日本の総広告費は6兆1594億円で前年度比約12%減。これは、東日本大震災の2011年以来、9年ぶりのマイナス成長となった。
コロナ禍による外出・移動の自粛により、巣ごもり需要が拡大。総務省令和3年度情報白書によれば、インターネット・トラフィックは対前年度比で150%以上の増加を示した。さらに、有料動画配信サービスの利用率も前年度比で増加している。
テレビとインターネットの利用時間も逆転した。総務省が8月25日に発表した2020年度の情報通信メディアの利用状況に関する調査によれば、平日のネット平均利用時間がテレビの平均視聴時間を初めて上回った。
(大紀元日本語編集部)