自民党総裁選の投開票日まで残り2日。エネルギー政策については、立候補した4氏は菅義偉政権が打ち出した「脱炭素の戦略」を継承するとみられているが、争点の原発増設や核燃料サイクル、原子力潜水艦の保有については異なる姿勢を示した。
原発増設や核燃料サイクルについて
18日、自民党総裁選の4候補は日本記者クラブが主催する討論会に出席し、原発問題などエネルギーに関連する政策を議論した。
河野太郎行革担当相は「脱原発」をめぐり、省エネや再生可能エネルギーを最大限活用したうえで、「足らざる部分は原発の再稼働で補うしかない」との考えを示した。核燃料サイクル政策については、早めにやめる決断を行うべきだと主張した。
岸田文雄前政調会長は「核燃料サイクルは止めてしまうと、今動いている原発すら動かせなくなる」と強調し、安全が確認された原発の再稼働を優先し、小型原子炉や核融合エネルギーなどへの投資を支援するとしている。
高市早苗前総務相は「原発を使い続ける限りサイクルを止めてしまうわけにはいかない」と維持する意向を示し、小型モジュール炉や高レベルの放射線物質が発生しない核融合炉へ投資し、電力の安定供給を目指していると述べた。
野田聖子幹事長代行は菅政権の環境・エネルギー政策を継続すると述べ、「原発についてベースロード電源として重要性が高く、急にゼロにするのは現実的ではない」とし、地熱発電などの再生エネルギーの開発を訴えた。
原子力潜水艦の保有について
自民党総裁選の4候補は26日、フジテレビの番組で原子力潜水艦の保有について、自らの見解を述べた。
河野氏は、「能力的には日本が原子力潜水艦を持つのは非常に大事だ」と述べ、母港の選定や運用能力、コストについて検討が必要だとしている。
岸田氏は「日本の安全保障体制を考えた場合にどこまで必要なのかなと思っている」と語った。そのうえで、原子力潜水艦の秘匿性や長期間勤務を考えたとき、処遇改善や人員の確保が優先課題だと説明した。
高市氏は今後の国際環境の変化を考慮し、「少し長距離に対応できるものはあってもいいのではないか」と述べ、原子力基本法との関係について整理を要するとした。
野田氏は、日本は「非核三原則」を堅持する国であることを明確にしたいとし、「保有するつもりはない」と明言した。また、原子力潜水艦の保有については、国民の合意をしっかりと作っていかなければならないと述べた。
ディーゼルエンジンを搭載する通常動力型潜水艦と異なり、原子力潜水艦は長期間水中で活動することができ、秘匿性にも優れている。近日、オーストラリアがフランスとの契約を破棄し、米国の支援を受けて導入を検討していることが大きな話題となった。
(蘇文悦)