菅首相は28日、新型コロナウイルス感染症対策本部のなかで、19都道府県の緊急事態宣言と8県のまん延防止等重点措置を30日にすべて解除し、飲食等の制限の段階的緩和を決定した。ワクチン接種と中和抗体薬の投与が進み、医療提供体制が整ったことを理由に挙げた。
官邸によると、全国の病床利用率は全都道府県で50パーセントを下回り、重症者および自宅療養者は減少傾向にある。
政府は今後、感染対策と日常生活の両立のため、医療体制のもう一段の整備、ワクチン接種の継続、飲食店の営業時間を21時まで認めるなど日常生活回復の3つの方針と取り組みを実施する。
医療体制の拡充については、これまでのホテルの追加に加え、臨時医療施設、酸素ステーションを全国で80施設設置するなどの措置を講じている。
ワクチン接種は高齢者の9割、および全国民の約7割が1回接種を終えた。厚生労働省は、高齢者の感染者10万人、死亡者8000人を減らすことができたと試算している。10~11月も接種を進めるとした。
こうした方針を示したうえで、菅首相は28日、「総理就任後1年余り、ただひたすらに走り続けた日々でした」「全てをやりつくすには短い期間でしたが、長年の課題に挑み、様々な改革に道筋をつけることができました」とコメントを残した。
30日で退任する菅首相は、「『国民のために働く内閣』への皆様のご支援ご協力があってこそであり、心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました」と謝意を示した。
29日、自民党新総裁選の投開票が行われ、決選投票で岸田文雄氏が選出された。10月4日には、新しい総理大臣の指名選挙(首班指名)を行う臨時国会が召集される。
(佐渡道世)