中国は先月、自国内の供給確保のため「尿素水」の輸出制限措置を発表した。中国に尿素水を90%以上依存する韓国にその影響が及んだ。
尿素水は、アンモニアに蒸留水を混ぜて作った水溶液で、ディーゼルエンジンの排ガスを大幅に減少できる。
深刻な尿素水不足により、韓国の貨物トラックの運行がストップするなど物流停滞の危機に直面している。消防車やゴミ収集車の運行にも支障をきたし、市民の日常生活に影響が出る恐れがある。
これを受け、韓国は5日、中国など主要な尿素輸出国と外交ルートを通じて協議するための「尿素不足対策チーム」を発足させた。
韓国政府は中国側に「尿素に対する輸出前検査を早期に進めるよう」要請した。オーストラリアやベトナムなど中国以外の尿素生産国と交渉し、年内に数千トンの尿素を導入できるよう外交力を総動員する方針だ。
韓大統領府は7日、来週オーストラリアから2万リットルの尿素水の緊急輸入を決めた。輸入には軍の輸送機を動員するという。
韓国では、ディーゼル車に排出ガス低減装置(SCR)の装着が義務付けられているため、最近発売された全てのディーゼル車は、尿素水がなければ走行できない。
中国では発電用の石炭を優先確保するため、尿素の生産を縮小。関係が悪化したオーストラリアからの石炭輸入が減ったのも要因という。
中国の輸出制限を受け、韓国では尿素水の買い占めと値上げが起きている。
韓国与党「共に民主党」の次期大統領候補、李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事は7日、韓国内の尿素水品薄現象に関して「原因は中国への過度の依存にある」と指摘した。
「これを機に、輸入先の多角化や国内生産の問題をよく検討すべき」とする見解を表明した。
(翻訳編集・李凌)