米AP通信は15日、北京冬季五輪フィギュアスケート女子に出場しているロシア・オリンピック委員会(ROC)のカミラ・ワリエワ選手のドーピング騒動は、中国の人権問題などに対する国際社会の批判回避に役立っているとの見方を示した。
今月8日、昨年12月に行われた薬物検査で、ワリエワ選手に禁止薬物の陽性反応が出たことが明らかになった。7日、同選手はフィギュア団体でROCの金メダル獲得に大きく貢献した。
8日以降、海外メディアは毎日のIOCの記者会見で、ワリエワ選手とロシアのドーピングスキャンダルに焦点を当て、質問をするようになった。いっぽう、中国官製メディアの記者は「会場や効率的な大会運営についての称賛のコメントを求める」ことなどに集中しているという。
AP通信は、オリンピック大会の歴史を研究するデビッド・ワレチンスキー氏の話を引用し、「ワリエワ選手のスキャンダルで最大の勝者は中国政府だ」「中国当局者は人権問題についてコメントする必要がなくなったので安心しただろう」と指摘した。
ジョージア州立大学の専門家、マリア・レプニコワ氏は、中国当局は「このような動きを歓迎するに違いない。これは五輪大会と中国当局に対する批判をそらすことができる」と述べた。
報道によると、北京冬季五輪の開幕日から1週間前まで、国際オリンピック委員会(IOC)の記者会見では、各国の報道機関は女子テニスの彭帥選手、新疆ウイグル自治区での人権問題、「バブル方式」と呼ばれる大会の新型コロナウイルス感染防止対策などについて中国の報道官に質問していた。これらの質問は「すべて中国当局が避けたいものである」とAP通信は指摘した。
AP通信社は、ワリエワ選手に関するメディアの関心は20日の閉幕式まで続くとの見方を示した。
(翻訳編集・張哲)