元中国人民銀行委員:国内収入格差、今後さらに拡大

2010/09/22 更新: 2010/09/22

【大紀元日本9月22日】中国人民銀行貨幣政策委員会の元委員で、現在は、中国国民経済研究所の所長を務める経済学者、樊綱氏は9月11日、米クレジットカード大手マスターカードの中国支社が上海で開催したビジネスフォーラムにおいて、中国国民の収入格差は5年後さらに拡大するという見解を示した。「収入格差の拡大状況は、今後も長期間続き、少なくとも将来5年から10年以内に緩和する可能性はないだろう」と述べた。「京華時報」が報じている。

樊綱氏によると、安い労働力は過去30年間にわたり中国経済の高成長を支えてきたが、同時に深刻な収入不均衡問題をもたらし、近年さらに悪化している。「長期間にわたるこの格差問題は、社会危機を生じ、経済成長を妨げ、競争力を破壊している」と同氏は指摘する。

また、樊氏は、収入格差がさらに拡大する主な原因は、制度および体制の問題、社会が発展する中で生じる各種の問題、公共政策の不備問題にあると分析している。

「現在の中国では、中国人口の30%以上が収入の低い農業に従事している。しかし、アメリカではその人口比率はわずか2%で、隣の韓国も6%に留まっている。また、農業に従事しないで、サービス業や製造業で働くいわゆる出稼ぎ農民工も、人口の30%を占めている。農民工の平均年収は、1500ドル(約12万7500円)だが、農民の平均年収よりかなり高いため、多くの農民はより給与の高い非農業セクターに就職しようとしている。しかし、職への需要は非農業セクターで働く農民工の収入を低下させた。過去15年間、非農業セクターにおける労働生産率は毎年10~12%のペースで成長しているにも関わらず、農民工の給与の成長幅は年間4~6%に留まっている。その結果、農民工などの下層労働者と専門職や投資家との間の収入格差は、ますます拡大する一方だ」と同氏は解説している。

(翻訳編集・張哲)
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