【大紀元日本4月14日】米国務省が8日に発表した『2010年国別人権報告書』は中国の人権状況について、過去1年間において、中国での人身や、言論、宗教、インターネットの自由が引き続き悪化している、などと報告した。一方、中国当局はそれを受けて、『2010年米国人権記録』と題する報告書を発表し、米国の人権状況を厳しく非難した。
米国務省が発表した人権報告では、中国当局に「政治的敏感」とされる個人や組織が引き続き、集会、宗教の信仰、旅行などの自由が厳しく制限されていると報告している。中国当局は引き続き、秘密逮捕や軟禁などの違法な手段で、民衆の言論などの発表を封じ込もうとしている。
クリントン国務長官は同人権報告の発表記者会見で、2011年に入ってから、中国での人権活動家への弾圧はいっそう悪化している、と指摘した。米VOAも人権団体の報告書のデータを引用して、中国で秘密逮捕や強制連行された人権活動家は今年に入ってからすでに100人近くに達していると報じ、皆中国の社会問題を暴露・非難したためだという。
中国当局の公表によれば、2010年11月末までに、中国でのインターネット利用者は4.5億人に達し、携帯電話でのネット利用者は2.77億人に達している。米人権報告書は、中国当局は引き続きインターネットの情報検閲・監視を厳しく行っていると指摘し、特に地下教会や、民主活動家、「六・四天安門事件」に関連する国内外のサイトは国内で閲覧できないと報告し、中国の14以上の政府部門がインターネット監視に加わっている、と記した。
北京五輪誘致の際に、中国当局は人権問題や言論の自由の改善を国際社会に約束した。しかし、「五輪後、中国の言論の自由な空間はますます狭くなっている」と、中国の人権事業に長年携わってきた中国人権観察の秦永敏・会長はVOAに語った。「今年に入って、中東の民主化運動が中国政府に衝撃を与え、当局による弾圧がいっそう厳しくなった」と強調し、それでも、いま中国での言論の自由への訴求は「一部の人権活動家にとどまらず、中国社会全体の要求となっている」と同会長は見解を示した。
中国当局が猛反撃
今回の米国務省の人権報告書について、中国国務院は、中国などの関係国に対する「歪曲と非難」であると反発した。10日には、中国当局は1.3万字の『2010年米国人権記録』を発表し、米国の各分野における「人権違反」の事案を並べ、米国は世界で暴力犯罪が最も深刻な国であり、国民の生命、財産、人身の安全は保障されていないと反論した。
同報告書は、米国の高失業率や貧困人口の割合の上昇、飢餓人口の増加などを米国の「人権問題」として批判した。また、他国の人権への侵害について、イラク戦争やアフガニスタン戦争で、多くの民間人を巻き添えにしたことを取り上げて非難している。
「米国は自身の深刻な人権問題を無視しながら、『人権外交』を推し進め、人権問題を、他国を醜悪化し自身の戦略的利益を得るための政治の道具にしている」と同報告書は非難し、米政府に対し、「自身の人権分野における作為を反省して、人権問題を口実に外国の内政に干渉する覇権的な行為を直ちに止めるべき」と締めくくっている。