【大紀元日本8月7日】中国政府が例年定めている2カ月半の休漁期間が1日に明け、8994隻の漁船が南シナ海の係争海域で漁を行うため海南省からの出航を始めている。
香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは専門家の見解として、このような大規模な出航は北京が南シナ海の主権主張をさらに強化したあらわれであり、同海域での争いが激化する可能性があると指摘した。さらに同報道は中国海軍軍事研究所の李傑研究員の言葉を引用し、大規模な漁船の出航は先月、海洋監視隊による定期巡航に続く新たな主権主張の方法であると伝えた。
また、現地政府は漁船装置の改良などに補助金を出した上、漁民らをまとめて係争水域へ向かわせているという。これらの行動は係争水域の深海で漁を行うことを奨励していると見なされ、ベトナムやフィリピンとの間で衝突が再燃する可能性があるとサウスチャイナ・モーニング・ポストは指摘した。
少し前の6月末、中国の国有企業・中国海洋石油総公司(中海油)は、南シナ海の石油・天然ガスの採掘に向けて国際入札を行っていた。この海域はベトナムが探査を行っている地区とも重なっている。
「中国政府の立場はこれまでにないほど明確である。つまり、彼らはこの海域を開発したがっているのだ」。世界の大手石油企業のトップ(匿名)はドイツ国営放送ドイチェ・ヴェレにこのように語った。
この入札について、ベトナムのハノイでは7月1日に抗議デモが行われ、同国のペトロベトナムガス社は中海油の入札募集活動を「厳重な国際法違反」と非難している。これは中国が入札募集した海域がベトナムの排他的経済水域(EEZ)にあるためで、同社はエネルギー企業にたいし、この入札に参加しないよう呼びかけている。
国際危機グループ(本部、ベルギー)のクレイン・アルブランド氏は、争議海域のエネルギー探査活動はさらなる外交紛争をもたらす可能性はあるが、当分、大規模な軍事衝突の可能性は低いと見ている。「だが、探索した結果、その海域に資源が埋蔵されていると分かり中国はボーリングを決定すれば、状況が激化するだろう」と述べた。
米エネルギー情報局(EIA)08年3月の報告によると、南シナ海の石油埋蔵量は280億バレルから2130億バレルの間であり、少なくとも60年間、中国の石油需要にこたえられる。同データはサウジアラビアとベネズエラ以外の国の合計石油埋蔵量を超えている。