【大紀元日本4月9日】3月から4月初旬、天津市南開区の結婚登記所には連日多くの離婚する夫婦が訪れる。朝方4時ごろから列ができ、整理券で「入所制限」をする日もあるという。「みんなニコニコしている」のがこれら夫婦の特徴で、離婚証明を手にするやいなや、「復縁の手続きも、ここでやってくれるのでしょうね」と、係員に念を押す人もいる。
南方都市報が報じたこの風景は、2月26日、国務院が「国五条」を発表した直後に全国で見られた。不動産価格の調整を目指し、加熱する不動産投機を抑制する5項目の政策・国五条は、中古住宅を売買する際に、その売買差益の20%を個人の所得税として課すことを決めている。しかし5年以上所有し、「家庭で唯一の住居」であれば、免税されるという「但し書き」も付いているため、多くの市民が離婚に踏み切った。2つの不動産を所有する夫婦は離婚すれば、それぞれが「唯一な住居」として所有し、免税特典を享受できるわけだ。
離婚の「利益」は売却だけに限らない。2軒目の不動産を購入する際も離婚したほうが「有利」だという。1軒目購入に必要な3割の頭金は、2軒目になると6割に増え、ローン金利も1.5割引きから、1割増しへと跳ね上がる。離婚して片方が1軒目として購入した後、また復縁する夫婦も増えている。
こうして、当局が不動産価格の調整策を発表するたびに、巷では離婚ラッシュが起きている。今回の「国五条」の発表でも、天津市では週平均600組前後の協議離婚が、3月4日~8日の週では1255組に倍増したという。
このような離婚について、専門家は「合法の皮を被った違法」と批判するが、当事者らは手続きの合法性を主張し取り合わない。それでも脳裏をかすめる不安があると離婚夫婦らは言う。「人の気持は頼りにできない」。法に触れることよりも、「偽装」が「真」になり、「人財両空」になることが心配のようだ。