6日の北朝鮮の水爆実験に国際社会の関心が集まる中、中国政府は諸外国とともに強い反対の意を表した。実験発表の直後、中国外交部は声明で「断固たる反対」を表明、北朝鮮に厳正な交渉を行い、駐中国の北朝鮮大使を呼びつけ厳重抗議するなど、いままでになく北朝鮮へ厳しい姿勢を示している。
習近平陣営に近いとされる中国ニュース・サイト「財新網」は同日、「北朝鮮はこれまでに行った全3回の核実験を、すべて中米両国に事前に通知したが、今回は事前の知らせはなかった」と報じた。
長年、北朝鮮を政治・経済の両面で支援してきた、友好国である中国政府のこうした態度の変化について、大紀元本部の専属コラムニストは中朝関係をめぐる中国最高指導部内部の方向転換について分析した。
「江沢民元国家主席が率いる政治グループは、その次期の胡錦濤・温家宝体制まで、北朝鮮と親密な関係を押し通してきた。度重なる(実質的成果のない)6カ国協議や北朝鮮の核実験などは中朝両国の連携プレーで、北朝鮮は日韓米などの国々から経済支援などを引き出し、中国は政治的影響力をアピールする、そのための外交カードだった」
「一方、2012年末に発足した習近平体制は江沢民派と反して、国際社会に腫れ物扱いされている北朝鮮と距離を置くようにしている。それを邪魔するため江派は北朝鮮を中国に近付けさせようとしている。直前にドタキャンとなった昨年末の北朝鮮御用楽団、モランポン楽団の訪中親善公演は江派が意図的に企画したものという情報がある」
夏氏は「江沢民派こそが北朝鮮の盟友であり、長年裏で(経済・政治の)バックアップをし、北朝鮮を操っていた」と指摘している。
このことを一部裏付ける中国メディアの報道がある。独自報道で人気を集める北京の大衆日刊紙、新京報の昨年10月5日付の報道は、直近15年間に訪朝した中国指導部の高官をリストアップし、度々北朝鮮を訪れたとして江沢民氏とその側近ら(曽慶紅・元国家副主席、周永康・前中央政治局常務委員、現中央政治局常務委員の張徳江と劉雲山両氏)の北朝鮮との親密な関係を強調した。
習近平氏が北朝鮮を疎遠している兆候はほかにもある。公式発表では、習氏はトップ就任後に5回ほど韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と会談しものの、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記とは一度も会っていない。金氏が幾度も訪中をアプローチしたが、習氏は承諾しなかったという未確認情報もある。
今回の水爆実験をうけて習近平体制の今後の対北朝鮮対応について、専門家の意見を聞いた。
中国国内の政治学者は、中国企業は今後、北朝鮮とのビジネスを控えるようになり、北朝鮮経済に大きな打撃をもたらすと読んでいる。
前出の夏氏は、習氏が対北朝鮮経済制裁措置を取る可能性があることや、江派の北朝鮮支援の責任を問うこと、長年続いていた両国の「政治連携プレー」が収束することを予測している。
(翻訳編集・叶子)