「中央政治局常務委員会」制度(常委制)はこれまで激しい権力闘争を生み出し「絶対的トップ不在」という状況を作り出してきた。指導権を発揮しあぐねていた習近平・総書記がここにきて中国共産党の主要な政治制度を変える、そのような兆候があちこちで出ているようだ。
中国共産党の最高意思決定機関で事実上国家の最高指導部である中央政治局常務委員会。これまで経済、軍事等、各分野の主導権を握る全7人(胡錦濤体制では9人)の常務委員が、互いにけん制しあい権力闘争を激化し、結果「トップ不在」の状態となっていた。胡錦濤氏は2002~2012年までの総書記時代も同常委の多数派である江沢民派に実質上政権の主導権を握られ、思い通りに政権運営ができなかったといわれている。
ここにきて、後任の習近平・総書記はこの制度を変える動きをみせている。習氏は就任後、たびたび内部で党の危機論を発し、(政治)改革の重要性を訴えてきた。最近、内部から政治体制の変化の兆しともとれる発言が漏れ出ている。
中国共産党の高級幹部を養成する中共中央党校の公式サイトは6月下旬、「中国の運命を決める大改革」という見出しの文章で、習近平体制が経済、政治、文化、軍などあらゆる分野に及ぶ大規模な改革を行っているとはじめて発表したうえで、「米国政府筋が訪米した劉延東・副総理からこの改革計画の説明を受けたとき全員が驚いた」と記した。ある中国問題専門家は一党専制の中核である常委制廃止の可能性を指摘している。
その他にも香港メディアが5月ごろに、指導部に近い消息筋の話として報道したところによると、毎年夏恒例の北戴河会議において「常委制を廃止するかどうか」が重要議題の一つとしてあがった。日時なども非公開で非公式ながら、指導部メンバーや長老らがこの会議において指導部人事や重要議案の内容を大筋で決めているということもあり、常委制度の改革の可能性が伺える。
また国務院直属の行政機関「中国国家行政学院」の汪玉凱・教授は今年3月末、海外メディアの取材に対し、中国はいま「歴史的大変革の最中にいる」「未来は総統制に変る可能性がある」という重大発言をしている。
(翻訳編集・叶子)