防衛省は21日、18日午後6時ごろに津軽海峡を通過した中露海軍艦艇が21日には伊豆諸島を通過し西進していることを確認したと発表した。自衛隊トップの山崎幸二統合幕僚長は同日の記者会見で「中国軍とロシア軍による日本周辺での活動を高い関心を持って注視し、日本周辺の海域や空域の警戒・監視に万全を期したい」と述べた。
発表によると、10月20日午前1時頃、中露艦艇は千葉県犬吠埼の東約130キロを南進。21日午前4時頃には、伊豆諸島の須美寿島と鳥島との間の海域を西進した。
また、須美寿島の南西50キロから100キロの海域で、中露のフリゲート艦がそれぞれ艦載ヘリコプターを発艦させた。防衛省は、ヘリ発着艦に対して戦闘機を緊急発進させる等で対応した。
防衛省は、海上自衛隊の哨戒機「P-3C」、掃海艇「いずしま」、護衛艦「やまぎり」および同「たかなみ」により、情報収集・警戒監視を行った。
津軽海峡および伊豆諸島を通過したのは、中国海軍側はレンハイ級ミサイル駆逐艦1隻、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦1隻、ジャンカイII級フリゲート2隻、フチ級補給艦1隻。ロシア海軍側はウダロイI級駆逐艦2隻、ステレグシチー級フリゲート2隻、マルシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦1隻。
計10隻に及ぶこれらの艦艇は10月14日から17日にかけて、ラジオストク付近の海域で合同海軍演習を行なった。水雷の除去や標的への射撃など、20回以上の戦闘訓練を実施したという。そのほか、ロシア空軍のスーホイ30戦闘機を動員して対空戦闘訓練が行われた。
この中露訓練期間中の15日、日本海を航行中の米海軍駆逐艦とロシア海軍の駆逐艦が60メートルの距離まで接近する事態が発生した。ロシア側は「領海を侵犯しようとした米駆逐艦を阻止した」と主張しているが、米側は「日本海の国際水域で日常業務を行っていた」と説明している。