中国上海市のオフィスビルの空室率は、今年第3四半期も24.4%と高止まりし、賃料の下落も続いている。第2四半期の空室率は、不動産サービス大手CBREが比較した世界20都市で最も高かった。
上海のオフィス空室率24.4% 賃料の下落続く
日経中文網が10月20日に報じたところによると、不動産サービス大手CBREが世界20都市の今年第2四半期のオフィス空室率を比較した結果、上海は24.5%で最も高く、北京は17.9%で8位だった。
2019年第4四半期と比べると、上海の空室率は5.1ポイント上昇した。ニューヨークの3.8ポイント、ロンドンの2.6ポイント、東京の0.7ポイントを上回る上昇幅となった。
CBREが発表した最新の第3四半期報告書によると、上海のオフィス空室率は前期から0.1ポイント低下して24.4%となったものの、依然として賃貸可能なオフィス面積の約4分の1が空室となっている。
第3四半期末時点の上海のオフィス募集賃料は、1平方メートル当たり1日7.7元で、前期比0.6%下落した。賃料無料期間などの優遇措置を反映した実質賃料は同5.1元となり、前期比0.8%下落した。
第3四半期には約25万7千平方メートルのオフィスが新たに供給され、第1~第3四半期の新規供給面積は累計で100万平方メートル近くに達した。
CBREは、当面は賃料の引き下げによって入居企業を確保する動きが続くとみている。
ビル所有者が賃料引き下げ 約10年前の水準に
上海のオフィス市場では、ビル所有者が賃料を引き下げて入居企業を確保する動きが広がっている。
中国メディア「経済観察報」の過去の報道によると、一部の高級オフィスビルでは、賃料が一時、約10年前の水準まで下落した。
上海の金融街、陸家嘴地区にあるオフィスビルの関係者は、入居企業の賃料交渉力が強まっていると語った。ビル所有者は優良な入居企業を引き留めるため、契約更新時に賃料を割り引くことがある。ただし、こうした条件は通常公開せず、個別交渉で決めるという。
同紙は、CBRE中国の調査部門責任者、謝晨の話も紹介した。一部のビル所有者は、シェアオフィスの利用スペースを特典として提供しており、入居企業の中には、こうした優遇条件を賃貸契約書に明記するよう求めるところもあるという。
今年4月の関連報道では、上海の虹橋ビジネス地区で、敷金を不要とする「敷金ゼロ」の物件も登場した。
ウェイボーでは、オフィスの所有者からも賃料引き下げの実態が投稿されている。
ユーザー名「斐済果的様子」は、陸家嘴地区に所有するオフィスの賃貸契約を更新した際、賃料を3%引き下げたと明かし、「とにかく空室にならなければ、それで満足だ」と投稿した。
オフィスビルの供給が増え続けることについて、別のユーザー「暖被窩的暖by」は「上海のオフィス空室率はこんなに高いのに、なぜ建設を続けるのか」と疑問を呈した。
外資系企業の撤退・投資縮小 空室でも窓際に明かり
日経は、上海のオフィス空室率が高止まりしている背景として、外資系企業の撤退や投資縮小、中国本土企業による賃借面積の削減を挙げている。
一方、陸家嘴地区では、空室のオフィスで夜間も照明がついている光景が注目を集めている。
台湾の中央通信社によると、中国本土の動画投稿者が夜間、上海の観光名所「東方明珠塔」付近のオフィスビルを訪れたところ、少なくとも5室が空室だったにもかかわらず、窓際の照明だけがついていた。
日経も、陸家嘴地区の一部のオフィスビルでは、入居企業がいないにもかかわらず照明がついており、その光は室内の執務スペースではなく、建物の外側に向けられていると伝えた。夜景を演出するためとみられる。
上海の金融研究者、彭海氏(仮名)は今年4月、大紀元に対し、かつて陸家嘴や虹橋のオフィスビルには多くの外資系企業や金融機関が入居していたと説明した。しかし現在は、一部の民間企業が本社機能をコストの低い都市に移転し、金融機関もオフィスの規模を縮小しているという。
彭氏は、賃料の下落は企業のオフィス需要が弱まっていることの表れだとの見方を示した。
オフィスの空室問題 内陸都市にも広がる
オフィスビルの空室問題は、上海などの沿海都市だけでなく、内陸都市にも広がっている。
日経によると、内陸部の重慶市にあるオフィスビルでは、約200平方メートルの一室が空室となっていた。床材の一部が剥がれ、天井からケーブルが垂れ下がり、ドアには以前入居していた企業の名前が残されていた。
部屋の外には「価格優遇」「交渉可能」と書かれた入居募集の張り紙があり、各階に空室があったという。
重慶市内では、開発業者の資金難により、60階を超える高層オフィスビルの建設が中断している。
低層階には商業施設が入っているものの、上層階に入居企業は見られず、夜間も照明がつかず暗い状態となっている。
識者らは、オフィスビルの供給過剰が続けば、賃料の下落圧力がほかのオフィス物件にも一段と広がる恐れがあると分析している。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。