米国の新規失業保険申請件数が再び減少し、約57年ぶりの低水準に迫った。企業の採用活動は依然として低調だが、解雇も少なく、雇用市場は底堅さを維持している。
米労働省が10月22日に発表した統計によると、10月17日までの1週間の新規失業保険申請件数は、季節調整済みで19万4千件となり、前週の改定値を6千件下回った。
7月18日までの1週間には18万9千件を記録し、1969年9月以来の低水準となっていた。今回もそれに近い低い件数となった。
週ごとの変動を平準化した4週間移動平均も減少し、19万7750件となった。
過去1年間の新規失業保険申請件数は、週平均で21万2千件だった。
一方、失業保険の継続受給者数は、新規申請件数より1週間遅れて公表される。10月10日までの1週間は約173万人となり、前週の下方修正後の数値から2万5千人増加した。
米企業の解雇は低水準 求人件数も横ばい
米企業の解雇件数は引き続き低水準にある。
米労働省が9月29日に発表した統計によると、8月の解雇者数は前月から6万1千人減少し、低水準にとどまった。
解雇率は過去1年間で0.2ポイント低下し、1%となった。
一方、求人件数は過去1年間、おおむね横ばいで推移している。
新規失業保険申請件数は、企業の解雇動向を示す代表的な指標であり、雇用市場の動きをいち早く把握する手がかりとなる。
イラン戦争に伴うエネルギー価格の上昇は米国経済に影響を与えているが、今回の統計からは、雇用市場への大きな打撃はうかがえない。
米雇用市場、採用も解雇も少ない状況続く
エコノミストらによると、米国内の需要は堅調で、企業収益も好調だ。
一方、イラン戦争による経済の先行き不透明感に加え、退職者の増加やトランプ政権による移民政策の厳格化を背景に、労働力の供給は減少している。
企業は経済の先行きが不透明なため、新規採用に慎重な姿勢を続けている。一方、働き手の確保が難しくなっていることから、今いる従業員の解雇も控えている。
その結果、米国の雇用市場では「採用も解雇も少ない」状態が続いている。こうした状況は、ここ数年の大半の期間で見られてきた。
米金融大手ジェフリーズ・グループの米国担当チーフエコノミスト、トーマス・サイモンズ氏は、顧客向けの報告書で次のように述べた。
「消費者信頼感調査では、景気に対する強い悲観論が見られる。企業の人員削減に関する報道も相次ぎ、AIが仕事を奪うという見方も広がっている。それでも、失業保険の申請件数は、雇用市場が安定していることを示している」。
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