【掌編小説】牛刀という道具 『荘子』より
昔の中国に、料理の名人がいた。名を庖丁(ほうてい)という。
【掌編小説】岐路で泣く 『蒙求』より
楊朱は、その分岐点に立ったまま、久しく泣いていた。
【掌編小説】禹王治水
中国史とは、ぶつ切りの王朝史をずらりと一列に並べた、なんとも奇妙な形状である。
【掌編小説】蛇を捕える者の涙 柳宗元『捕蛇者説』をもとに改編
赤蛇を、徹底して駆除すべし。この世からも。人の心からも
【掌編小説】大運河の柳 白居易「隋堤柳」より
後世の中国皇帝は、我が身を戒めるため、何を見るのが良いか。隋堤の亡国の柳樹を見てほしい。
【掌編小説】腕を折った翁 白居易「新豊折臂翁」より
新豊の村で出会った一人の翁。その右腕は、異様に折れ曲がっていた。
【掌編小説】月と遊ぶ 李白「月下独酌」より
月を友として迎えれば、我と、我が影と、三人になる。
【掌編小説】炭売りのじいさん 白居易「賣炭翁(炭を売る翁)」より
長安の南に、終南山という山がある。その山の麓に、炭売りのじいさんがいた。
【掌編小説】闇夜の涙 杜甫「石壕吏(石壕の吏)」より
真夜中の闇に、家人のかすかなむせび泣きが聞こえた。その後、下吏は老婆を連れて去ったらしい。