米ルイジアナ州ニューオーリンズにあるテュレーン大学での新たな研究です。
それによると、「食事中にワインを少量飲むと、2型糖尿病のリスクを軽減するのに役立つ可能性がある」と言います。
同大学の研究者は、英国のバイオバンク(UK Biobank)に所属する「頻繁に飲酒する成人」約31万2400人のデータを調査し、適度な飲酒と、新たに発症した2型糖尿病患者との関係について分析しました。
約11年におよぶ追跡調査によると、調査対象者のうち約8600人が2型糖尿病を発症していました。
その結果から得られた事実は、以下の4つです。
1、 食事中の飲酒は、空腹時の飲酒と比較して、2型糖尿病リスク低下により多く関連していた。
2、 適度な飲酒は、2型糖尿病の予防に有益である可能性があるが、これは食事中に飲酒した患者のみ顕著であった。ただし今回の調査で、具体的な食事時間はデータ収集できなかった。
3、食事中のワイン摂取と2型糖尿病リスク軽減との関連性は、他の種類の酒と比較して、最も頻度が高かった。
4、ワイン、ビール、リキュールの飲酒は、2型糖尿病とそれぞれ異なる関連性がある。ワインは2型糖尿病リスクの軽減に関連するが、ビールおよびリキュールは2型糖尿病リスクを増大させる。
ただし、ここで注意すべき点を、今回の研究報告の作成者であり、テュレーン大学肥満研究センターの研究員であるHao Ma氏は、次のように語っています。
「健康に対する飲酒の影響は、それが有害であるか有益であるかにかかわらず、飲酒の仕方によって非常に大きな影響があります。言わば、飲酒は両刃の剣なのです」
つまり今回の研究が、すぐに「ワインを飲めば糖尿病リスクを軽減できる」という証明にはならないということです。
Hao Ma氏は、「従来の研究では、その飲酒量にのみ注目していましたが分析結果はまちまちでした。飲むタイミングなど、飲酒に関する詳細に焦点を当てた研究は、ほとんどないのが現状です」と言います。
さらにHao Ma氏によると、「臨床試験では、適度な飲酒はブドウ糖代謝への影響を含めて、健康に有益である可能性も示唆されています。しかし、ブドウ糖代謝上の利点が2型糖尿病リスクの軽減に本当につながるかどうかは、まだ不明です」としています。
なお今回の研究は、調査対象者のほとんどがヨーロッパ系の白人であるため、この調査結果が、他の集団や人種にも適用できるかどうかも不明と言います。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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