ほとんどの人は寝る前にシャワーを浴びたり、毎日パジャマを替えたりしますが、ベッドシーツや枕カバーの衛生面は見落とされがちです。しかし、1週間洗濯せずに使用し続けることで、枕カバーにはトイレ便座の約2万倍もの細菌が付着するという驚きの研究結果が発表されました。
ベッドシーツは私たちが想像しているほど清潔ではありません。実際、ベッドシーツはダニや細菌の温床となっていることが多く、家庭内の「衛生上の盲点」となっています。
米国の寝具メーカー、アメリスリープ(amerisleep)は「4週間寝具の洗濯をしない」という研究を行いました。その結果、研究期間終了時までに、枕カバーにはペットのフードボウルの39倍、ベッドシーツには歯ブラシホルダーの5.4倍の細菌が生息していることが判明しました。さらに、1週間洗わずに放置された枕カバーには、便座の約1万7500倍の細菌が検出されたのです。
この研究では、寝具に存在する細菌の主な4つの菌株として、グラム陰性菌(41.45パーセント)、グラム陽性菌(24.94パーセント)、バシラス綱(23.38パーセント)、グラム陽性球菌(10.23パーセント)が見つかりました。
寝具に潜む菌
米国疾病予防管理センター(CDC)によると、グラム陰性菌は、抗生物質耐性をもたらす可能性があり、バシラス綱は食中毒や感染症の主な原因となります。
また、死んだ皮膚細胞を食べるダニやホコリは、時間の経過とともに徐々に増え、ベッドシーツや枕、マットレスに蓄積します。何千匹ものダニとベッドを共にするのは避けたいものです。
ダニだけでなく、ベッドにはさまざまな真菌が生息しています。
米医療機関クリーブランド・クリニックのデータによると、汚れた寝具は以下の健康被害を引き起こします。
1. 喘息やアレルギー症状: 寝具に生息するダニは、アレルギーや喘息の症状を悪化させる可能性があります。
2. 発疹や湿疹の症状: 古い皮膚細胞に含まれる細菌は、発疹を発症するリスクを高める可能性があります。
3. ニキビと毛嚢炎: 細菌は毛嚢炎を引き起こすこともあり、この感染症は時に痛みを伴い、皮膚のかゆみやニキビのようなぶつぶつが生じます。
4. 真菌および寄生虫感染: ペットの白癬菌や疥癬菌などの真菌、寄生虫が寝具を通して人間の皮膚に感染することがあります。
寝具の細菌対策
そこで全米睡眠財団(The National Sleep Foundation)は、健康と睡眠の質を保つため、シーツと枕カバーは毎週交換することを推奨しています。一緒にベッドで寝るペットがいる場合は、3~4日ごとに寝具を交換することが望ましいです。
また毛布、枕、マットレスは、ベッドシーツや枕カバーほど頻繁に洗う必要はありませんが、それでも時間の経過とともにバクテリアやアレルゲン、汚れが蓄積する可能性があります。
掛け布団と毛布は2~3か月に1度、枕は4~6か月に1度、マットレスは6か月に1度くらいの頻度でクリーニングすることを推奨します。清潔を保つことは、寝具の寿命を延ばすと同時に、睡眠の質と健康改善に役立ちます。
(翻訳編集・ 徳山忠之助)
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