トランプ米大統領は13日、アメリカが2025年からインドへの軍事販売を拡大し、最終的にF-35ステルス戦闘機を供与する計画だと明かした。
2月13日、トランプ米大統領はインドのモディ首相と会談した。両首脳は防衛、貿易、エネルギー、インフラ、地域的な連携強化について協議した。トランプ氏が1月にホワイトハウスに復帰して以来、両首脳が会談するのは初めてとなる。
「本日の発表により、米国とインドの友好関係はこれまで以上に強固なものになったと確信している」と、トランプ氏は会談後の共同記者会見で述べた。
貿易赤字削減と防衛協力の拡大
今回の会談では、貿易が主要な議題となった。トランプ氏は同日早く、アメリカ製品に高い関税を課す国々に対して「相互関税」を導入する計画を発表。インドもその対象に含まれている。アメリカはインドにとって最大の貿易相手国であり、両国間には456億ドルの貿易赤字が存在する。
トランプ氏は「石油や液化天然ガス(LNG)の販売によって、この赤字を簡単に解消できる」と述べた。
両国は、米国製防衛装備の新規調達を含む二国間貿易協定の締結を目指しており、これにより米国の貿易赤字削減とインドの国防力強化が期待される。
さらに、トランプ氏は「最終的にはF-35ステルス戦闘機をインドに提供する道も開いている」と発言。一方、モディ首相は「新しい技術や装備がインドの防衛力を大きく向上させる」と述べ、アメリカとの協力強化への期待を示した。
供与の具体的なスケジュールについては明らかにされていないが、F-35のような最先端技術を含む武器の対外販売は、通常数年を要する。これらの取引は国家間で行われ、米国防総省が武器メーカーと外国政府の仲介役を担う。
インドの防衛近代化と西側へのシフト
インドは2008年以降、200億ドル以上に相当する米国製の防衛装備品を購入している。昨年には、6年以上にわたる協議の末、31機のMQ-9B無人偵察機の購入を決定。今後も防衛近代化に向けた取り組みを進めるとされる。
長年、ロシアはインドにとって主要な武器供給国だったが、近年のウクライナ戦争の影響で輸出能力が低下。これを受け、インドは西側諸国との防衛協力に目を向け始めている。F-35を製造するロッキード・マーチン社は、現在、アメリカやイギリス、日本など複数の同盟国向けに戦闘機を供給しており、今後のインドへの供与に注目が集まる。
安全保障と地域連携の強化
トランプ氏は、2008年のムンバイ同時多発テロ事件(犠牲者160人以上)の容疑者をインドに引き渡す意向を明らかにした。また、米国、インド、日本、オーストラリアから成る「クアッド」パートナーシップを通じて、インド太平洋地域の安定と平和を構築する重要性を強調した。
また「平和と繁栄を維持するために極めて重要な取り組みだ」と述べた。
モディ首相は「インドを再び偉大にする」という目標を掲げ、両国間の貿易総額を2030年までに5000億ドル以上に引き上げる意向を示した。また、2047年までに完全な先進国となることを目指していると語った。
経済協力と技術パートナーシップ
インドが持つ豊富な希土類資源を活用し、中国への依存を軽減することも協議された。トランプ政権は、半導体製造を含む技術協力を推進し、供給網の強化と安定化を目指す方針を示した。
ホワイトハウス高官は会談前に記者団に「重要な供給網や技術が武器として利用されないようにすることが我々の目標だ」と語った。また、インド、イスラエル、アメリカを結ぶ港湾や鉄道、海底ケーブルなどのインフラ開発プロジェクトが進行中であることも明らかにした。
トランプ大統領との会談に先立って、モディ首相は13日、ワシントンでイーロン・マスク氏とも会談した。インド政府によると、2人は、宇宙開発やAIなどの分野での協力強化について話し合ったという。
対中戦略の一環としての米印関係
高官は「米印関係は21世紀において最も重要な二国間関係のひとつ」と評価。経済や地政学的要素を含む広範な協力を通じて中国に対抗する姿勢を明確にした。
トランプ大統領は就任後、複数の世界の指導者と会談を行っており、モディ首相は4人目の訪問者となった。今後、トランプ政権はインドに対し、さらに多くのアメリカ製品の購入を促す方針だ。
「我々はより強固な防衛パートナーシップを構築したいと考えている」と政権高官は述べ「アメリカのエネルギー販売によってインド経済を文字通り支えることが可能だ」と強調した。
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