トランプ米大統領は3月6日、フランスの海運大手「CMA CGM(シーエムエー・シージーエム)」が米国内で200億ドルを投資し、港湾および物流施設を拡充する計画を発表した。この投資により、アメリカの港湾処理能力が向上し、造船業が活性化することが期待されている。
トランプ政権は、アメリカの造船業を復活させ、中国共産党(中共)の世界の海運業界での支配的地位を弱体化させることを目指している。このため、トランプ氏は3月5日の執政方針演説で、ホワイトハウス内に「造船業オフィス(Office of Shipbuilding)」を新設することを発表した。この機関は米国内での船舶建造を推進する専任機関となる。
CMA CGM、米国内での投資計画を正式発表
6日、CMA CGMのロドルフ・サーデ最高経営責任者(CEO)は、ホワイトハウスでトランプ氏と会談し、200億ドルの投資計画を正式に確認した。サーデ氏は、このプロジェクトにより1万人の雇用が創出されると強調した。
CMA CGMの発表によると、この4年間にわたる200億ドルの投資計画には、以下の内容が含まれる。
- コンテナターミナルの拡張
- アメリカの港湾処理能力の向上
- シカゴに航空貨物ハブを新設
- 米国製ボーイング777貨物機5機の導入(米国のパイロットが運航)
サーデ氏は、フランス系レバノン人の億万長者であり、家族と共にCMA CGMを経営している。現在、同社はニューヨークやロサンゼルスで港湾ターミナルを運営し、米小売大手ウォルマートの主要貨物輸送業者でもある。
また、サーデ氏はトランプ大統領に対し、米国内での貨物船建造プロジェクトへの支援を検討しており、今後数週間以内に詳細を正式発表する予定と伝えた。
さらに、同社が米国船籍の船舶を現在の10隻から30隻に増やす計画も示し、これはトランプ政権が進める米国の海運自主権強化策に合致している。
米国の海洋戦略 中国の影響力拡大を警戒
近年、中共は造船能力を急速に拡大し、国際物流への影響力を強めている。この動きはアメリカにとって安全保障上の脅威と見なされており、有事の際に中国の商業船が中共軍の補給部隊として利用される可能性が指摘されている。これに対抗するため、トランプ政権は海洋戦略を政策の最優先事項に位置づけている。
トランプ大統領は3月6日、「来週または再来週に、新たな米国造船計画を発表する予定」と述べた。これには、造船業への奨励策が含まれるという。
造船業支援と中国製船舶への規制強化
ウォール・ストリート・ジャーナルは、トランプ政権が米国内の造船業支援策として、企業所得税の軽減や投資税額控除(税制優遇)の導入を検討していると報じた。これにより、米国内での商業船および軍用船の建造が促進される見込みだ。
また、ロイターが3月6日に入手した大統領令の草案によると、トランプ政権は中国製船舶を利用する船舶会社に対し、特別な料金を課す方針を固めた。
この新たな規制では、中国製の船舶や中共国旗を掲げる船舶がアメリカの港湾に寄港する際、追加料金を徴収することになる。さらに、アメリカの同盟国にも同様の措置を講じるよう働きかける計画だ。
CMA CGM CEO「中国製船舶への課税は世界の海運業に大きな影響」
CMA CGMは世界第3位のコンテナ海運会社である。同社は、アメリカが中国製船舶に対する港湾使用税を課すことが決まれば、すべての海運会社に重大な影響を与えるとの見解を示した。
今後、アメリカが造船業支援策を強化し、中国製船舶の利用に制約を設けることで、世界の海運業界に大きな変化がもたらされる可能性がある。
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