中国 五つ星ホテルが次々倒産 経済低迷と不動産危機が原因か?

2025/03/21 更新: 2025/03/22

中国経済の低迷により、かつて栄華を誇った五つ星ホテルも厳しい冬の時代を迎え、多くの有名ホテルが、静かに倒産している。中には安値で売りに出されても買い手がつかず、今も荒廃したままのホテルも存在する。この間、一体何が起こったのか? 一緒に見ていこう。

中国メディアの報道によれば、五つ星ホテルは最高級の象徴であり、かつては成功者の特権であった。高級ブランドやレストランが競って出店し、部屋の価格は法外で、予約も容易ではなかった。言わば、当時のトップクラスのホテルは、金を生み出す道具だったのである。

しかし今や、これらのホテルはかつての栄光を失い、2023年には中国の高級ホテルで倒産の波が起き、現在もその影響は続いている。

中国の五つ星ホテルは倒産ラッシュ 何が起きている?

2023年末、天津リッツカールトン、三亜インターコンチネンタル、上海ブルガリホテル、北京金茂ウェスティン、三亜シェラトン、南京フェアモント金鷹、重慶解放碑ウェスティン、光合谷温泉、さらにはアメリカ大統領も宿泊した北京金茂ウェスティンホテルなどの名だたるホテルが、不良資産として安値で売りに出した。

2024年初めには、寧波ソフィテルグランドホテルが営業を停止し、6月には1泊3万元を超える北京三里屯のオッポーズホテルが正式に閉鎖した。8月には北京ソフィテルホテルの売却情報が取引サイトに掲載され、11月には80以上の中高級ホテルを所有する山東藍海ホテルグループが破産手続きに入った。

同グループの負債率は107.99%に達し、58のホテルプロジェクトが競売にかけられたが、全て流札となった。2024年末には、ブランド変更から2年も経たない上海東方佘山アンダーズホテルが破産清算に入り、揚州西区グリーンランドベルリンホテルは営業を停止した。

中国メディアによると、2024年のスター級ホテルのブランド消滅は、前年比で約2倍に達し、この閉鎖の流れは2025年まで続くと予測している。

今年、浙江省温州の万和豪生大酒店、紹興富麗華大酒店、佛山のランドマーク的ヒルトンホテル、高級外資系五つ星ホテルの桂林帝苑などが次々と競売にかけられ、驚くほどの価格下落にもかかわらず、買い手が見つからない状況が続いている。

広西省では、数十億元を投資した凱旋温泉ホテルの工事を中断し、何年も放置しているが、未だに引き取り手がいない。広東省東莞市の五つ星南北花園ホテルも閉鎖してから長い年月が経つが、誰も関心を示していない。

ここまで来ると、多くの人が疑問を抱くだろう。なぜ高級ホテルが「厄介者」となってしまったのか?

中国メディアによると、21世紀初頭、一部の地方政府は、投資誘致のため、開発業者に土地取得時の五つ星ホテル建設を義務付けた。開発業者はこれに喜んで従い、ホテルの収益は二の次で、土地取得と周辺不動産価格の上昇を通じて実利を得た。このモデルは全国に広がった。

しかし2020年、中国政府が不動産開発融資を制限する「三つの赤線」政策を打ち出し、不動産市場は冷え込んだ。不況により不動産企業の資金が逼迫し、五つ星ホテルは負担となり、次々と安値で売却を始めた。

外資撤退とビジネス客減少始め 政府の監視強化 公金消費減少

さらに、外資系企業の撤退でビジネス客が減少し、高級ホテルの稼働率も大幅に低下した。かつて中産階級、特に不動産や金融業に従事していた人々は、出張や旅行で高級ホテルを選んでいたが、不動産業界の崩壊と金融業の縮小により、彼らの収入は大幅に減少し、高級ホテルに宿泊する機会が減った。

さらに、政府の監視強化に伴い、公金を使った消費が減少した。かつて、多くの高級ホテルは政府や企業の接待に依存していたが、現在は、公務消費が制限され、銀行や証券業界も支出を抑制しているため、高級消費は大きな影響を受けている。

統計によれば、2024年第3四半期の中国の五つ星ホテルの宿泊料金は前年同期比で5%値下がりし、稼働率も4%低下した。特に北京では、2024年の最初の10か月間に五つ星ホテルの宿泊客数が2018年と比較して133万人も減少した。

アメリカのサウスカロライナ大学の謝田教授は、数年前に中国政府が外資を大量に誘致し、多くの外国人が中国に入国して、高級ホテルに宿泊していたことを指摘している。しかし、その黄金期は過ぎ去り、外国人観光客の数は大幅に減少し、高級ホテルも影響を受けている。

さらに、中国の反腐敗キャンペーンが進む中、汚職官僚たちも自制を始めた。加えて、地方政府の財政赤字が深刻化し、公金での飲食を禁止したため、高級ホテルやレストランを利用することが難しくなっている。これらはすべて連鎖的な影響を及ぼしたのである。

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